バス利用者の減少傾向について
沖縄本島のバスの利用者数について、あなたはどのようなイメージを持っているだろうか? 何人かの人に聞いてみたところ、「右肩下がりで減少していて危機的状況」というのが普通の認識のようだ。
たとえば、ゆいレール建設直後に書かれた事例紹介には下記のグラフが書かれている。昭和60年に比べて17年で半減している。1969年は約1億6千万人※1、1972年の復帰時点では1億200万人※2が利用していたらしいので、その頃と比べると 1/6〜1/4。このまま直線を伸ばしていくと、そのうち利用者は0になりそうな勢いだ。
2004年(平成16年)に傾向が変わった?
ところが、最新のデータを元にすると少し印象が違ってくる。毎年減ってはいるのだが、2004年(平成16年)ごろからは傾きが平坦に近づいている。前年度を上回る年さえある。
どうやら2004年ごろに傾向が変わったように見える。何があったのだろうか?
2003年8月10日にゆいレールが開業しているし、その後2007年から段階を追ってバスナビが導入されている。これが理由だと私も早合点しそうになったのだが……
全国のバス乗車人員の傾向
実は全国のバス乗車人員も2004年から同様に減少がなだらかになっている。沖縄だけの事情ではないようだ。だとすると、これには共通の原因があるはずだ。
傾向はなぜ変わったのだろう?
2004年には日本の総人口がピークアウトし、2004年12月からは人口は減少傾向にあります。しかし、沖縄はまだ人口は増加中なので、人口だけではこの変化を説明できません。
関係がありそうなのは乗用車保有台数。こちらは2004-2005年ごろにピークアウトしました (軽自動車は増えているため、自動車の総数はまだまだ増えています)。
沖縄県内の自動車販売業について | 株式会社りゅうぎん総合研究所によると、「自家用車保有台数をみると、本県、全国ともに98~07年まで順調に増加を続けているが、06年から伸びが鈍化しており一服感がみられる」とのことで、沖縄でも同様の傾向です。
そういえば、那覇市内で自転車に乗る人が増えたのもこのころだったと思います。これも何か関係しているのかもしれません。
まだ原因が腑に落ちないので、もう少し調べて見ます。
ディスカッション
コメント一覧
大熊さん、こんにちは。
高校生のバス利用率は、登校時28.5%、下校時37.9%です ( 乗り換え含む、 http://www.pref.okinawa.jp/site/kodomo/kodomomirai/documents/2koukouseityousanituite.pdf )。高校生数が4.6万人ぐらいですので、バス利用者はざっくり1.5万人ぐらいでしょうか。家族による送迎が50%程度に達していて、バス利用率はかなり減っていると考えられます。 校区による縛りが昔に比べてゆるくなったので、バス通学しづらくなったのも一因でしょうか。
この辺りは、過去との比較資料が欲しいところです。
詳細な根拠資料添付ありがとうございます。
バス利用高校生数は登校時1万3千人、下校時1万7千人で往復合計3万人になるのではとも推定できますね。
私自身那覇市内でのバス通勤のため、朝通勤時の車内混み具合からバス需要はあるが、路線や本数開拓が未熟な印象を受けています。
ただし今の路線バス会社4社に需要開拓資金があるようには見えないので、県市町村がなんとかして欲しいのですが、どうでしょうね
記事:「路線バスの需要について(ふくちゃん号、OTS、ぴらつか音楽祭2018) 」にも書きましたが、路線バスの潜在需要はそれなりに存在すると思います。
ただ、潜在需要が顕在化するまで1年程度かかりますし、宣伝活動も必要です。自治体の実証実験は3ヶ月程度で打ち切られることが多く、自動車からのシフトが発生する前に終わってしまうのが問題だと考えています。
こんにちは。
沖縄県内のバス利用者数の基礎票(最低ライン?)については、
・児童生徒数(特に高校生)
も考慮する必要があるのではないでしょうか。
あと本文中で触れられていましたが、ここ最近の自転車利用層は外国人就労層も考慮する必要があるかと。
要は日本国内で有効な自動車運転免許を持っているかどうかなんですが