那覇〜コザ間急行バス実証実験(2016年秋から)

2016/07/14急行バス, 沖縄のバス

琉球新報や琉球朝日放送サイトに那覇〜コザを結ぶ急行バス実証実験の記事がありました。

記事だけではわからないことがあったので少し調べてみました。

急行路線と停車バス停

急行バス終点のコザはコザ十字路のバス停。普通にコザで思い浮かべるBC.street(パークアベニュー)や胡屋十字路ではないようです。

急行はコザ―普天間―伊佐―那覇の区間で12往復24本を運行する。同区間には46の停留所があるが、15程度の主要な停留所だけ停車する。県は到着時間を10分程度短縮できるとみており、実験で効果を検証する。

 予算は一括交付金事業の公共交通利用環境改善事業を活用する。同事業では、バスが交差点で信号に掛かりにくくする「公共車両優先システム」(PTPS)も導入する。本年度は24台がシステムに必要な車載器を導入する予定。

便利になる?那覇-コザ間 急行バス運行 県、秋から実証実験 – 琉球新報(2016年7月3日)

記事内の「急行が停車する主要な停留所」は、下記資料の基幹バス急行停留所だと思われます。
(那覇バスターミナル/県庁北口/農林中金前/若松入口/泊高橋/上之屋/安謝橋/第二城間/宇地泊/伊佐/普天間/山里/胡屋/コザの14箇所。さらに那覇空港を追加して15箇所?)

20160703-express-bus

平成24年度公共交通活性化に関する調査報告書」(2/2)(PDF)

(資料中にあるリニアバスターミナルについては後述)



琉球新報記事中では「県は到着時間を10分程度短縮できるとみており」とありますが、那覇〜コザ間は普通に乗車しても1時間少々。10分程度では効果が少ないように思います。

高速バスを使ってもバスターミナル〜沖縄南ICまでは39分かかります。一般道では時間短縮の余地は少ないので10分程度になるのは仕方ないことだけど。

20160703-express-bus-2

Yahoo! 路線案内アプリより

基幹バス構想

将来は那覇〜中部にある重複路線を整理して基幹バス+支線バスにする意向のようですが、これはどうかなあ。
急行バスが10分短縮しても乗り換えにそれ以上に時間がかかったら意味ないし。さらに乗り換えで運賃があがったら踏んだり蹴ったりですよね。

欠点を上回る利点が無いから10年以上も導入されてないわけです。鉄道のように高速・定時運行できるなら良いけど。

県は現在のバス網を100とした場合、基幹バスシステムの導入によって乗り換え回数は44%増になるが、移動時間は11%減、バス走行キロが20%減、輸送効率は21%増といった改善効果を試算している。

県、来年度に社会実験 市外線バス網再構築 – 琉球新報(2007年5月28日)

バス事業者はバス停などのインフラ整備やスムーズな乗り継ぎ方法の確立といった条件整備を要望する。根幹にある警戒感は「ドル箱路線」を打ち切ることによる経営への影響だ。
 基幹バスを計画する那覇―沖縄間をはじめ、国道58号を通る路線は利用者が多く、各社の経営を支える収益区間だ。それを5―10分間隔でピストン運行する基幹バスに再編すれば、現行より運行本数が減ったり、基幹バスの沿線から外れた地域でバス離れが起きるのではないかと懸念する。

路線再編へ基幹バス計画 実験見通し立たず – 琉球新報(2009年3月23日)

そもそも乗り継ぎ自体が利用客からは不満要因ですし。現在の沖縄のバス路線の現状は乗客の要求を反映したものなのでしょう。
これを無理に基幹+支線にしたら反乱が起こると思う。

乗り継ぎの不満理由については、「その他」が77件(構成比76.2%)と最も多い。それ以外の回答は少なく、「待ち時間が長い」7件(構成比 6.9%)、「便数が少ない」(構成比5.9%)の順である。
(中略)
全体の4分の3を占めた 77 件の「その他」の回答の内訳をみると、「乗り継ぎがあること自体に不満」が 75 件(構成比 97.4%)と圧倒的多数を占めている。

沖縄本島における交通結節点の乗り継ぎ利便性の向上に関する調査業務 報告書 平成26年3月 内閣府沖縄総合事務局(PDF)

乗り継ぎに要する時間については、「10 分以上 20 分未満」が 117 件(構成比 41.1%)と最も多く、次いで、「20分以上30分未満」が76件(構成比26.7%)、「30分以上60分未満」が36件(構成比12.6%)の順である。「最初の乗車までの待ち時間」よりも所要時間が長くなる傾向にある。

沖縄本島における交通結節点の乗り継ぎ利便性の向上に関する調査業務 報告書 平成26年3月 内閣府沖縄総合事務局(PDF)

沖縄市のリニアバスターミナル

沖縄市胡屋〜コザ間をバス乗り換えの拠点化する構想。乗り換えが増えれば空洞化が深刻な隣接商店街にも好影響があるとの読みなんだろうけど、利用者から見たらどうかなあ。

ちなみにリニアモーターカーとは関係ないようです。

20160703-express-bus-3

沖縄市の重点施策案 - 国土交通省資料

昔を思い起こせば、国際通りがまさにリニアバスターミナル状態だったのですよね。中北部に行くときはマチで買い物してから国際通りの手近なバス停で乗車してた。それの再現を目指しているのかな?

急行バスが追加されるのは歓迎

既存のバス路線網に急行が追加される分には大歓迎。問題は鈍行が減らされたり・乗り換えが強制されることかな。

昔、祖父母の家に遊びに行くときには辺野古で乗り換えていました。スムーズに乗り換えできるときは良かったけど、辺野古バスターミナルで長時間待たされたときは非常に退屈したものです。当時は街灯も少なく、夜間は真っ暗になるので待合室の外にも出られないし、時間つぶしのゲーム機やスマホもない時代。

さすがに今ではそんなにひどい状況にはならないと思いますが それでも乗り換え強制は嫌だなと思います。直行バスがあるならそれに合わせて移動スケジュール建てた方がマシだし。

資料リンク