人を迷わせるバス停留所を集めてみた(2) – 中学校前・中校前問題
前の記事で、本来の名称は「中学校前」なのに現地バス停には「中校前」と書かれている事例を紹介しました(人を迷わせるバス停留所を集めてみた(1))。
例えば、寄宮中学校の前にあるバス停は、バスナビで検索すると「寄宮中学校前」と出てきます。
寄宮中学校前バス停にはなぜか「寄宮中校前」と書かれています。どっちが正しいの?
寄宮中学校前のバス停
調べていくうちに、そもそもバス停の「本来の名称」は何なのかという深淵な問題にぶちあたりました。私は単純に「寄宮中学校前」が正しいバス停名で、(字数の関係から)それを略して「寄宮中校前」と書いているのだと思っていました。ところが過去の資料を探してみると「寄宮中校前」と書かれているものが出て来ます。
1982 観光ガイドブック 那覇市 (那覇市が配布していたガイドブック)より引用し矢印追加
上記地図では「古蔵中学校前」も「古蔵中校前」になっています。紙面の関係で省略したのかどうかまでは不明ですが、中学校を中校と略すのは一般的だったようです。
現在、現地の看板が「寄宮中校前」であることを考えると、本来の名称は「寄宮中校前」であって、それをデジタル化するときに誤って「寄宮中学校前」と入力したのではないかとも考えられます。
古蔵中学校前のバス停
上記ガイドブックには「古蔵中校前」バス停がありますが、これは現在は「古蔵中学校前」になっています。以前は「赤十字病院前」というバス停名でした。2010年に赤十字病院が那覇市与儀に移転したため、古蔵中学校前という名称に変更されました。現地のバス停も現在は「古蔵中学校前」です。
(ちなみに「赤十字病院前」だったころのデータがバスなびには残っていて、バグの温床になっています)。
ところがですね、これとは別に「古蔵中校前」というバス停があるのですよ。とよみ大橋が開通後、豊見城高校への通学路線のために新設されました。Googleストリートビューを遡ると、少なくとも2010年にはここにあったようです。
なぜバス停名が分裂したのかはわかりませんが、利用者を惑わせるのは間違いありません。
高江洌中学校前のバス停
こちらはバスなびでは「高江州中校前」なのですが、現地は「高江州中学校前」です。
西原中学校前のバス停
バスなびでは「西原中学校前」なのですが、現地は「西原中校前」です。
恩納小中学校前のバス停
バスなびでは「恩納小中学校前」ですが、現地は「恩納小中校前」です。
上本部小中学校前のバス停
「上本部小中学校入口」も現地は「上本部小中校入口」。
中城小学校前のバス停
バスなびでは「中城小学校前」ですが、現地は「中城小校前」です。
さすがに疲れたのでここまでにします。
省略してもいいのだけど、検索しやすくして欲しい
色々調べてみたのですが、省略する・しないのパターンがはっきりしません。現地が「中学校前」なのにバスなびが「中校前」という例もあって、わけがわかりません。
昔は手書きでしたので、字数を減らして効率化するのは当たり前に行われていました※1。紙面や実物バス停では字が入らなくて省略したこともあったでしょう。昔はコンピュータ検索する機会もないので、統一する必要性も感じなかったでしょうし。
- ※1 1969年のゼンリン地図には「天妃校前」「与儀校前」「久茂地校前」「高校前」のバス停表記があります。実際にこのバス停名だったのかは不明。
過去の経緯で省略形と本来の形が混在したままでデジタル化しようとしたのが混乱の元になっているように思われます。本来は名称をどちらかに統一すべきなのでしょうが、それにはコストがかかります。現地のバス停看板をいちいち書き換えるのも大変です。
当面は検索プログラム側で対応するしかないと考えますが、「何を同一視すべきか」は面倒臭い問題かもしれません。ここで例にあげた「中学校」・「中校」ぐらいなら良いのですが、他にも同一視して欲しい文字列は山のようにあります。「壺川」・「西壷川」のような異体字もあります。「第二ゲイト」「第二ゲート」は別のバス停です。「何が問題か」を把握するのが大変です。
これらをすべて洗い出すにはかなりの作業量が必要となります。さて、どうしたら改善されるのでしょうか……
続く
まだまだネタはありますので続きを書く予定です。乞うご期待。
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