那覇市地域公共交通網形成計画策定業務委託のLRTルートについて

2019/05/18沖縄の公共交通

昨年2018年末、県内二紙に那覇市の次世代型路面電車(LRT)導入検討の記事が出ていた。今年度になって、これに関するプロポーザルの実施の公告が出たのでメモしておく。



去年の案との変更点は?

上記ページ内の業務内容書(案)(PDF:1,570KB)に「モデル性の高い基幹的公共交通」(LRT)のルートが描かれている。この図では、バスターミナルから国際通りを経ておもろまち〜上之屋へ向かうルートと、同じくバスターミナルから那覇高校前〜開南〜与儀十字路〜寄宮交差点を経て真玉橋に向かうルートの2つが示されている。



これは2018年3月資料内の「那覇市交通基本計画 将来公共交通ネットワーク図」と同じ経路であり、今後はこの経路を元に計画の策定が進むと思われる。



実は、2018年3月の案(那覇市公共交通総合連携計画|那覇市公式ホームページでは、真和志方面に伸びる経路として3案(初期段階のLRT導入可能性調査 資料)が示されていた。これらの案はどれも採用されずに、元に戻った形になる。

(那覇市Webサイトのリニューアルに伴ってURLが変更されてますね。URLの一意性を大事にしてほしいものです)



那覇の南に隣接する豊見城市でもLRT導入が検討されており、それとの連携を考えると元の案がベストだと思う。


基幹バスは58号線、国際通りはLRT化?

2019年3月の新聞記事によると那覇〜コザを通る基幹バスは久茂地経由のみとなることが決定されたらしい。昔とは異なり、今や国際通りは観光客向けお土産通りと化していて、県民が日常的に訪れる場ではなくなっている。ビジネス関連のビルも58号線沿いに位置するようになっており、基幹バスが久茂地(58号線)経由になるのは必然だと思う。

そして観光客向けとなった国際通り〜おもろまちに、観光客にもわかりやすいLRTを走らせるのは悪くない案だ。


真和志の交通困難とLRT

LRTは去年の段階では真和志地区の交通困難の解消も目的とされていた。当時の案が3案とも真和志地区を経由していたのは、そのためである。

ところが今回の資料からは「真和志地区の交通困難の解消」という文字は消えている。LRTだけで真和志地区の交通困難を解消するのは不可能なので、こうなるのも仕方がないのではあるが、交通困難はどうしてくれるのだ?とは思う。


去年の記事で指摘した事項はどうなったか?

去年、私の記事では問題点を下記のように指摘した。1点目の問題は案2の採用で、既存路線との重複は少なくなっている。3については国際通り松尾あたりからの移動になるのだろうか。

今回のLRT路線3案は既存のバス路線が存在するところを通っている。例えば案1は現在識名開南線(2番)、新川おもろまち線(4番)と重複している。新規かつ効果がありそうなのは素案2の与儀タンク跡〜真玉橋区間ぐらいか。もちろんバス路線をLRTに置き換えることで大量輸送・定時輸送を行う意味はあるのだけど、交通困難の解消ではない。

LRTを走らせられるような太い道路かつ需要のあるところは既にバスが走っているので、こうなってしまうのは仕方がないことではあるのだが。困難解消のためにLRT駅までのフィーダーバス路線を増やす計画があるのだろうか。その場合は乗り換え運賃が問題になると思う。

真和志地域から久茂地小学校跡地に建設予定の那覇市民会館に行くルートが無いのも問題。久茂地小学校は近隣のバス停からは結構歩くし、そもそもあまりバスがない。若狭ルートを一銀通り経由すれば解消するが、道路幅が問題か?



2点目の「LRT駅までのフィーダーバス路線」については、今回の図の中にも一応「フィーダー交通」として描かれている。我が家の近辺もフィーダー交通に含まれているのだが、さてどうなるんだろう? 現在乗合タクシーが走ってはいるが、あの料金(300円)ではフィーダーとしては使えないだろうし。


高齢化を迎えて那覇市内も公共交通の充実は必要であり、今後どうなるか注視していきたい。

沖縄の公共交通

Posted by ず@沖縄