将棋界の不親切問題と企業のOJT

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将棋界は入門者に対して不親切じゃない?って話があって、これは私も昔から気になっていることだ。

将棋やってる人って基本的に初心者に教えるつもりはないんだと思ってる – Guinea Pig」に書かれていることがまったく同感で、これは私が将棋を再学習したころからあまり変わっていない。

教える側の能力がない?

大抵の将棋入門書や入門者向けと称したWebサイト、Yahoo知恵袋などのQ&Aサイトに書かれている初心者向けのアドバイスのほとんどは以下の問題点を共通で抱えている。

  • 駒の動き方など最低限のルールを教えたら「あとは実戦して覚えましょう」と対局相手に丸投げ。昔の入門書にも多いパターン
  • 弱いコンピュータと指して見ましょうといって「ハム将棋」を紹介する。入門者は10枚落ち(ハムは玉と歩だけ)でも勝てないのが普通です
  • どのような技術を習得すべきなのかを提示しない
  • 入門書として勧める本が難しすぎて入門者には読めない

これって全部教える側の問題なんですよね。入門者が習得すべきスキルが把握できていないし、それを習得するために何をすべきかを理屈立てて説明できない。だから効果があるかどうかわからない手法や書籍を勧めてくるわけです。

何にでも興味をもって時間のある子供(のうちの一握り)は、それでも将棋の技術を習得して上達していくでしょうけど大半は途中で脱落します。ましてや時間もなくて頭の硬くなった大人をや。最終的には、教える側の能力不足を習う側の努力不足に転化するわけです。

一部の指導者の方はこの問題に気がついていて、入門向けのテキストを作り始めています。将棋連盟の「将棋入門ドリル」や、いつつの「はじめての将棋手引帖」は良い教材だと思います。ただ、これだけだと問題の数が少ないんですよねえ。今は教室の先生が問題をアレンジして教えていると思うのですが、個人学習するには少なすぎる。

(将棋は玉を取れば勝ちなのでわかりやすいのが仇になっているのかもしれません。囲碁界はもう少しだけ親切な気がする)

企業のOJTも一緒

将棋界の構図は見覚えがあるなと思ってたのですが、これは昭和のころの企業の新人教育(OJT)と一緒ですね。新入社員に最低限の教育を施したあとは現場に配属して先輩に教育を丸投げ。
今でも残っているようで「OJT ほったらかし」などで検索すれば実例は多数みつかります。
上司のヒアリング能力の無さを部下に転化する「ほうれんそう(報連相)」も蔓延っていましたし。
(そして、ほったらかしで「伸びないのは本人の自主性が不足しているから」という言い訳も、将棋界同様に存在するわけです)

昔、娯楽の種類が限られていたころは将棋が指せる少年は多く、ほったらかしても多くの人が上達したかもしれない。でも、少子化の進んだ今では子供にも大人にも丁寧に教えないと大半は挫折するのではないかと思っています。将棋人口が年々減っていくのも当たり前だと思う。

それでも企業のOJTでは、少子化や人手不足などの背景もあって企業内教育に力を入れるようになっていると思います。将棋界がこのレベルになるのはいつの日でしょうか。
最近の将棋連盟の醜聞(冤罪事件)を見るかぎりでは、改善する見込みはないんじゃないかと思ったりもします。

リンク

私が書いた将棋入門者についての論考のリンクです。ご参考まで。