沖縄県青少年保護育成条例を読む

2010/12/08沖縄, 生活

twitter の #hijitsuzai タグあたりを見てて、沖縄県内の条例ってどうなってるんだ、って思ったので見てみる。沖縄県のサイトの「福祉保険部 青少年児童家庭課」のページから「沖縄県青少年保護育成条例」。児童を育成すべき健全な大人としては読んでおかないとね。
有害図書等の指定についてってのもあるな。


青少年児童家庭課のページには「現代 の子ども達を 取り巻く社会環境は、
私たち大人がかつて子どもだった頃とは大きく異なっています」なんて書いてあって、それはその通り。昔は、うちの近所の、当時もバスが走っていた通りを馬が馬糞を落としながら歩いていたんだから。本屋は平和通りまで行くか、学校周辺に小さいのがあったぐらい。国土交通省のアーカイブにある1970年の空中写真が左写真。うーん。もしかして、我が家近辺だけが田舎だったのか? まあそれはともかく、社会環境が大きく変わったのは間違いない。
(こういう写真好きな方は沖縄の昔の写真をご参照ください)


閑話休題。読んでみる。
(定義)

第5条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。(中略)
(3) 興行 映画、演劇、演芸、見せ物、紙芝居等を公衆に観覧させることをいう。

いつの定義だ。元々は復帰時点で作られたようですので40年近く前。この版は「平成18年3月31日をもって改正された」なので4年ほど前ですか。

第3章 青少年育成を阻害する行為の規制
 (深夜外出の制限)
第9条 保護者は、正当な理由がある場合のほか、深夜(午後10時から翌日の午前4時までをいう。以下同じ。)に青少年のみで外出 させないように努めなければならない。
2 何人も、正当な理由がなく、保護者の委託を受けず、又はその承諾を得ないで、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
3 何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び 善導に努めなければならない。ただし、青少年が保護者から深夜 外出の承諾を得ていることが明らかである場合は、この限りでない。
4 深夜に営業を営む者及びその代理人、使用人その他の従業員は、深夜に当該営業に係る施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努めなければならない。

沖縄では昔から問題なんで、このへんはまあわかります。

 (有害興行の観覧の禁止)
第10条 知事は、興行の内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺 激し、又は著しく粗暴性、残虐性、犯罪若しくは自殺を誘発助長する等青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるとき は、当該興行を有害興行として指定することができる。

これはいわゆる成人映画の規定ですかねえ。いまでは絶滅寸前ですが…大人になったら見に行ってやる、と子供のころは思ってましたが、まさかこんな時代になるとはねえ。

(有害図書等の販売等の禁止)
第12条 知事は、図書等の内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺激し、又は著しく粗暴性、残虐性、犯罪若しくは自殺を誘発助 長する等青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該図書等を有害な図書等として指定することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げるものは、有害な図書等とする。
(1) 書籍又は雑誌であつて、全裸、半裸若しくはこれらに近い状態での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為を被写体とした写真又は描写した絵で、規則で定めるものを掲載するページ(表紙を含む。以下同じ。)の数が当該書籍又は雑誌のページ総数の5分の1以上を占めるもの又は20ページ以上あるもの
(2) ビデオテープ又はビデオディスクであつて、全裸、半裸若しくはこれらに近い状態での卑わいな姿態若しくは性交若しくはこれに類する性行為の場面で規則で定めるものの描写の時間が合わせて3分を超えるもの

3分以下ならいいのか。プロレスみたいだな。カウント取ったりして。
というのはさておき、表現の自由との絡みでこういう規定にならざるを得ないらしい。で、東京都のはこのへんを逸脱してるのも問題。

 (有害図書等の陳列場所)
第12条の2 図書等取扱業者は、有害図書等を陳列するときは、規則で定めるところにより、当該図書等を他の図書等と区分し、店内の容易に監視することができる場所に置かなくてはならない。
2 図書等取扱業者は、前項の有害図書等の陳列場所に、当該図書等を青少年が購入し、若しくは借り受けし、又は閲覧し、若しくは視聴することができない旨の掲示をしなければならない。

ゾーニングですね。これは昔に比べたら厳しくなったかな。まあ、あれがゾーニングとして有効なのかってのはあるけど。

 (届出及び表示義務)
第13条の3 図書等又は器具類等の自動販売機等を設置しようとす る者は、あらかじめ当該自動販売機等ごとに設置する場所その他規則で定める事項を知事に届け出なければならない。ただし、法令により青少年の立入りが禁止されている場所に当該自動販売機等を設置する場合は、この限りでない。

そういえば、書籍の自動販売機なんて見かけなくなりましたな。復帰直後にあれが入ってきたときは、凄いと思ったもんだけど。

 (質物の受入れの制限)
第16条 質屋営業法(昭和25年法律第158号)第1条第2項に規定する質屋は、青少年から物品を質にとつてはならない。ただし、青少年が保護者の委託を受け、又は同意を得たと認められるときその他正当な理由があると認められるときは、この限りでない。

味わい深い規定だ。質屋って最近減りましたよねえ。昔は開南から旧山形屋に抜ける通り(海南中央通り)にたくさんあった。

 (みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第17条の2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

みだらでなければいいのか。みだらって何だ? ぐぐる。「単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」か。

 (着用済み下着等の買受け等の禁止)
第17条の3 何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿(青少年がこれらに該当すると称したものを含む。)をいう。以下この条において同じ。)を買い受け、若しくは売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。

「青少年がこれらに該当すると称したものを含む」。なんとも味わい深い条文だ。

 (インターネットの利用による有害情報の閲覧等の防止)
第18条の6 何人も、青少年がインターネットを利用するに当たつては、当該利用によつて得られる情報であつて、その内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺激し、又は著しく粗暴性、残虐性、犯罪若しくは自殺を誘発助長する等青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認められるもの(以下「有害情報」という。)を閲覧させ、又は視聴させないように努めなければならない。
2 インターネットを利用することができる端末設備(以下「端末設備」という。)を公衆の利用に供する者は、当該端末設備を青少年の利用に供するに当たつては、フィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みをいう。以下同じ。)の機能を有するソフトウェアの活用その他適切な方法により、有害情報を青少年に閲覧させ、又は視聴させないように努めなければならない。
3 端末設備の販売若しくは貸付けを業とする者又は特定電気通信役務提供者(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)は、その事業活動を行うに当たつては、有害情報を青少年が閲覧し、又は視聴することがないよう、フィルタリングに関する情報その他必要な情報を提供するように努めなければならない。

東京都の条例では、フィルタリング強制にするってのも問題のはず。フィルタリングできない機器はどうするんでしょうね。

まとまってないけど、ここでオワリ。また時間のあるときに見てみる。
ただ、規制条文作る側が育った時代との格差がモロモロに現れてるんだろうなあということは感じる。そういう差ってあまり明示されないだけだに、差が見えたときに理解の断絶を生みそう。日本は(沖縄は)昔から豊かだったと思ってる世代との差、っていうのかな。

沖縄, 生活

Posted by ず@沖縄