SARS-COV-2, COVID-19 関連情報メモ(2020年3月30日時点)
「SARS-COV-2, COVID-19 関連情報メモ(2020年3月23日時点) | ず@沖縄」を書いてから1週間経った。様々なことがあった。オリンピックは延期になり、それと歩みを合わせるかのように東京での感染者数が増大した。もう2020年3月22日までの三連休前とは別世界のようだ。
前回に引き続いて、この1週間で気になったことをメモしておきます。私は医療とか感染症とかには素人なので鵜呑みにしないでください。情報源は示していますので、各自で考えてください。
目次
東京の感染者の急拡大
週明け(2020年3月25日)から東京都の発表する新規感染者数が急増している。それまで20人以下だった感染者数は40人を上回り、さらに増加して29日には68人に上った。
累積感染者数のグラフは、数学で学んだ指数関数のカーブにそっくりだ。まさに感染爆発が進行中である。しかもこれは(潜伏期間前の)2週間前の状況を見ているのだ。
一部ではオリンピック延期まで隠蔽していたのではないかという陰謀論も出ているが、COVID-19情報共有によると従来の十倍の感染率を持つウイルス(L亜型)が海外から流入しているのではないかとのこと。これは大阪も同様。
すでに2020年3月10日からそれ以前(2020年3月9日まで)と比較して10倍の感染率でCOVID-19の感染連鎖が発生していると仮定すると、ここ数日の東京都内における感染者確認数の急上昇が説明することができます。
(中略)
この10倍の感染率が2020年3月10日以降で確認される理由としては、海外からの帰国者が持ち込んだ欧米で流行を広げている感染力の極めて高いこれまで日本国内で主として確認されていたS亜型とは異なるウイルス(L亜型)の2次感染、3次感染が発生していると考えるべきです。いわゆる「第2波」と呼ばれる現象です。
S亜型とL亜型
(S・Lで差はないという説もあり、そちらも説得力があります。この項は保留にしてください:(3) 宮澤正顯 – 新型コロナウイルスのL型とS型の話は、きちんと書くと分子生物学、分子遺伝学、遺伝統計学の知識が必要なので、これらを本格的…)
日本で流行していた種類と違う種類が海外で流行しているのではないかという説は3月上旬に報道されていた。論文※1は3月3日に出ている。しかし感染力の差は詳しくわかっていなかったため、私には危険性の差があまり感じられなかった。
蓋を開けてみれば10倍である(これも推測値だが)。今まで以上に対策を強化しないと抑え込めないだろう。今までも抑え込めているわけではなかったのに。
「L型」はこのうち70%を占めて「S型」に比べて感染力が強く、「S型」は遺伝子の特徴がコウモリから検出されたウイルスに近く、「L型」より古い型とみられるとしています。
新型ウイルス 感染力に差がある2つの型に分類 中国研究チーム | NHKニュース(2020年3月6日 6時04分)
- ※1 On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2 | National Science Review | Oxford Academic
- ※2 緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)|Web医事新報|日本医事新報社
東京から地方へ
L亜型らしき感染が東京から地方へ飛び火しつつある。医療資源の少ない地方で集団感染が起きたら…と思うとぞっとする。
こんな最中に自民党が集団で沖縄訪問。危機感がまるでない。怖すぎる。
菅官房長官が沖縄訪問、感染終息後に「V字回復」 https://t.co/uWEfgcsC0L #tbs #tbs_news #japan #news
— TBS NEWS (@tbs_news) March 29, 2020
当然、大批難の嵐である。
都民が大規模な外出の自粛に従ってるこのタイミングで、内閣官房長官や与党議員が現地視察と称して沖縄に行き、マスクもせずに呑気に街に出て現地の方と素手で握手したり、ぴったりとくっついて記念撮影してて驚いた。感染を広げてるのは老人や若者が原因ではなく、政権与党のこの危機意識の低さだよ。 pic.twitter.com/QikHxxSpMv
— 豆みつお (@ma_me_mi_tu_o) March 29, 2020
どの程度の対策が必要か?
さて、感染力が強いと思われるL亜型に対してはどのような対策が必要だろうか。COVID-19情報共有によると「ヒトとの接触をしないようにするべき」とのこと。通勤・勤務も含めてなので実に厳しい。諸外国の実行しているシャットダウン戦略を採らないといけない。
感染力の強いL亜型が流行しているとする最悪ケースシナリオでは2020年3月25日時点の活動レベルに対して1.8%レベルまで触接接触を低下させる必要があることがわかりました。1.8%レベルまで低下させる社会的距離戦略とは、すなわち、このL亜型の感染拡大が収まるまでは、ヒトとの接触をしないようにするべきであるということを意味しています。
感染力の凄さは報道からもわかる。5分の立ち話で感染るとは。
27日に感染が確認された由利本荘市に住む外国人指導助手(ALT)2人を含む8人のグループと5分程度立ち話をした。
TVもようやく報道時に気を付けるようになった(3月30日朝から)、遅すぎる。
8割は軽症とは?
ちなみに感染しても8割は軽症だと言われるが、軽症の意味が医者と素人で違うという話。全然軽症じゃないやん……
「8割は軽症」と言いますが、例えばインフルエンザで39度の熱にうなされながら水しか飲めない状況というのは、軽症に入ります。
— Takaya Suzuki MD, PhD (@suzuki_takaya) March 27, 2020
ど素人の危機感が無さ過ぎてお医者さんの胃がマッハらしいというツイを見た。軽症の時点で2段階くらいズレてた。すまねえお医者さん。メディアはまず意識の擦り合わせから頼む pic.twitter.com/raZyyVIigH
— 月斎 (@gessai) March 28, 2020
医療者とそうじゃない人との認識ギャップがあるのはやむを得ないが、おそらく医療者の感覚では
・「肺炎で人工呼吸器が必要」=命をつなぐことはできる可能性があるが、社会復帰できないくらいの後遺症が残るかもしれない状態
・「ECMO(体外式膜型人工心肺)が必要」=奇跡的に死なずに済むかもしれないけどそれは奇跡に近い状態、社会復帰ができないくらいの後遺症が残ってもやむを得ない状態
という認識ではないだろうか(正確なニュアンスは救急現場ドクターにおまかせする)。ただ最低限言えるのは、「人工呼吸器バンバン作れば助けられるんじゃないの」とか「ECMOという最新医療機器使えばいいんじゃないの」とかいう言説は、現実と全然異なるということ。
その他資料
現状の把握
- COVID-19情報共有 — COVID19-Information sharing – By Prof. Dr. Aki-Hiro Sato
- 都道府県ごとのシミュレーションによる検討 – COVID-19情報共有 — COVID19-Information sharing
- COVID-19 JAPAN – 新型コロナウイルス対策ダッシュボード
- 新型コロナウイルス 国内感染の状況
- 都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト
- 報道発表資料 2020年3月 |厚生労働省
L亜型
- Coronavirus: Asian nations face second wave of imported cases – BBC News
- On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2 | National Science Review | Oxford Academic
- 緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)|Web医事新報|日本医事新報社
東京と地方
- 菅氏、沖縄の観光V字回復へ意欲 コロナ打撃の那覇を訪問 – 琉球新報
- 那覇市の男性感染 県外は自粛を|NHK 沖縄県のニュース
- 新たに1人の感染確認 計7人に|NHK 青森県のニュース
- 岐阜 大垣 50代男性の感染確認 26日まで沖縄を訪問 | NHKニュース
医療の面から
過去記事。資料は過去記事にもあります。
遅まきながら勉強中。インフルエンザ なぜ毎年流行するのかも買った。岩田先生の本は読みやすいし、ためになる。
以下の2冊は4月配送だけど、無事届くかな。4月いっぱいは大丈夫だとは思うが。
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