沖縄県の投票率が低くあって欲しい人たちがいる

2012/12/17沖縄, 選挙

12月16日の投票が終わり、結果も出た17日0時過ぎになっても、過去の情報がいつまでもTwitter上をぐるぐる回っている。大抵は沖縄蔑視の意見を含めて。陰謀論と結びついているのも見かけた。

ほとんどのTweetは、投票日当日の中間投票率を最終投票率だと(わざと?)誤解した上に いろいろな意見をくっつけている。ひどいメッセージが多いので、ここには掲載しない。

必要であれば “沖縄 投票率” でTwitter検索して欲しい。



当たり前のことだが、投票日当日の投票率は時間が経つに連れて増える。また、期日前投票があるので、最終的な投票率は当日投票率+10~15%前後になるのが普通だ。沖縄県民は夜型なので遅い時間の投票も比較的多いし。

左の写真は私が投票にいったときの地元投票所の掲示。私はだいたいこの時間に投票するので、この時点の投票率から最終投票率が推測できる。以下は私の20時前のTweet。50%台後半と書いてはいるけど、59とか58じゃなくて 50%台前半になるかも?ぐらいの数字だと思ってた。



さて、そう思ってTwitterを眺めていたら「沖縄の投票率は29%」だの「3割行ってない」だの「全国最下位」というTweetが流れてきた。???である。

元になっているのは以下のニュースらしい。投票中の報道なので、最終的な投票率よりは当然低くなる。期日前を考えるとさらに差は広がるのだが……
(時系列を示すためにNHKだけ抽出)

逆に最も低いのが埼玉県の10.15%、次いで千葉県と沖縄県の11.11%などとなっています。
第46回衆議院選挙 投票進む NHKニュース

逆に最も低いのが沖縄県の28.28%、次いで埼玉県の29.38%などとなっています。
衆院選投票続く 投票率前回より低く NHKニュース(12月16日 18時9分)

逆に最も低いのが沖縄県の28.28%、次いで埼玉県の29.38%などとなっています。
衆議院選挙 投票締め切りへ NHKニュース(12月16日 19時10分)

逆に最も低いのが沖縄県の35.51%、次いで埼玉県の37.05%などとなっています。
衆議院選挙 投票が終わる NHKニュース(12月16日 20時31分)

逆に最も低いのが鹿児島県の39.31%、次いで沖縄県の40.77%などとなっています。
投票率 午後7時半で45.42% NHKニュース(12月16日 21時31分)

さすがに、11.11%はあまりみかけないが(千葉と埼玉も巻き添え食うから?)、28.28%を根拠とするTweetはかなり見かけた。全国最下位という言葉もついているので、余計に流通しやすかったようだ。沖縄と埼玉という取り合わせも。


じゃあ、最終結果がどうなったか? 56.02%。低いといえば低いがそう悪い数字でもない。

ここにも「過去最低」という言葉がついているので、56.02% を見ずに「全国最低・過去最低」だと思い込んでいるTweetも多かった。また、過去最低になっている県は沖縄以外でも多い。「前回まで14回連続で衆院選の投票率が全国トップの島根でも、戦後最低の70・66%」なのだ。

(調査のためにあちこち見てみたけど、投票率まで当日Web速報を掲載している地方紙は以外に少ない。沖縄本島は2紙あって競争しているのがいい方向に出ている気がする)


実際の各県の最終投票率はどうなっただろうか? こんな記事があった。

都道府県別の推定投票率で、最高は山形の67・70%。秋田66・50%、岐阜65・67%が続いた。最低は高知の53・57%で、青森54・63%、宮城54・70%の順。
推定投票率は59・70% 10ポイント減、戦後最低並み – 47NEWS(よんななニュース)(2012/12/16 22:30)

ただし、これも「推定投票率」。1%も差がないので、ちょっとした推定誤差があれば順位は上下するだろう。沖縄は選管最終が56.02%なので、平均よりは下のほうではあるかもしれないけど、この記事の最低とは2.5%差があるので全国最低ではなさそうだと推測できる。

実際に上記3県の選管のデータを調べてみた。

共同通信に掲載されていた3県の投票率は沖縄県より少ないと言えそうだ。では沖縄は下から4番目かというとそうでもない。適当に何県か調べてみたら沖縄より下の県が見つかった。
(たぶん今日の朝には全国集計結果が報道されるでしょうから、正確な一覧が必要な方はそちらを参照ください)

ということで、現時点では少なくとも下から6番目。もしかしたらもっと上かもしれない。東京メディアの中間投票率を基にした全国最低云々という記事は、害ばかりで意味がないような気がする (わざと煽りタイトルをつけて喧伝する2ちゃんねるやまとめサイトが害悪なのは当然としても)。

追記:


さて、投票率がいろんな理由で上下することは「ず’s » 那覇市長選挙の投票率」でも書いた。今回、各地の結果を見たところでは(やっぱり)以下の要因での上下があるようだ。

同時に首長選挙があると投票率が高くなる

沖縄でも同時に村長選挙があった宜野座は83.47%、北中城が66.73%(第46回衆議院議員総選挙投票速報/沖縄県)。

全国的には10%程度減少しているが、東京の投票率は62.07%で前回の66.37%から4%しか落ちていないのも同時に都知事選があったからだと思われる。

争点のある選挙区、メディア露出が多い選挙区は投票率が高くなる

今回、沖縄県の候補者は自民党候補も「反オスプレイ・普天間基地は県外移設」という公約だったので、そこが争点にならなかった(県外の人にはここがわかりにくいかもしれない)。

維新のお膝元の大阪府は58.37%で全国平均ぐらい。前回の66.79%より8%減。去年の大阪府知事選挙の52.88%、大阪府議会議員選挙の46.46%よりは高いので、維新効果があったのか?

いつも投票率が高い地域もある

概ね日本海側が高く太平洋側が低いです。これについては私は仮説を持ち合わせていません。


とはいえ、沖縄の投票率が長期低落傾向にあるのは事実。好ましくはないですね。


沖縄, 選挙

Posted by ず@沖縄