【書評】 新型コロナウイルスの真実

2020/05/01感染症

新型コロナウイルスの真実を読んだ。前回読んだJ-IDEO+(ジェイ・イデオ PLUS) -新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは異なり、こちらは一般向けの縦書きの本。

目次

はじめに
第一章 コロナウイルス」って何ですか?
第二章 あなたができる感染症対策のイロハ
第三章 ダイヤモンド・プリンセスで起こっていたこと
第四章 新型コロナウイルスで日本社会は変わるか
第五章 どんな感染症にも向き合える心構えとは
あとがき

Amazonの販売ページ(新型コロナウイルスの真実)に本書の「はじめに」が全文掲載されていますので、興味がある方はそこを先に読むと良い。

検査をすべきかどうか・正しく診断ではなく正しく判断

PCRも含めて検査を増やすべきかどうかという議論がある。岩田先生の話は当初から一貫していて、「正しく診断ではなく正しく判断」するということです。

PCRは診断の拠りどころにはなりません。陽性の場合は喉に新型コロナウイルスがいることの証明にはなりますが、陰性だからといって罹っていない証明にはならない。
(中略)
「正しく診断して正しく治療する」を目指したところで、正しく診断することはできない。正しく治療することもすることも、まだ薬が開発されていないので、できない。
(中略)
正しく診断する、というのは、「この人はコロナ、この人はコロナじゃない」というのを全部言い当てることです。しかし、診断の拠りどころがない以上、その戦略は取れません。
(中略)
そして、取れないからには取るべきではないんです。できないことをやるのはおかしいですから。
だからやるべきは、その人がコロナかどうかに関係なく、コロナであってもなくてもいいようにするために、「正しく判断」することです。
その判断の根拠となるものは、症状です。



日本でも検査遅れから治療が間に合わずに死亡した例がありましたが、この例も高齢者で高熱が続いていることを考えれば、本書P.40に書かれているように「PCRで検査して仮に陰性だったとしても、症状からは新型コロナウイルスの感染が疑われます。(中略)安全対策をしっかりして治療しましょう、という判断」をすべきだったのでしょう。

捜査関係者などへの取材によりますと、東京 小平市に住む85歳の男性は高熱が5日ほど続いたため、PCR検査を受けたところ、今月10日、「陰性」と判定されました。
ところが、その翌日の11日、男性は顔が青ざめた状態になり、家族の通報によって病院に搬送され、死亡していたことがわかりました。
その後、再検査を行ったところ、「陽性」となり、新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたということです。



本書の前半は新型コロナウイルスに関してですが、後半は考え方や日本社会の問題点について書かれています。こちらも読んでいてうなずく点が多々あり、大変面白い。

そもそも日本の問題点って、1984年に出版された「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」でも指摘されているのですが、いっこうに改善されないのですよね。むしろ悪化している感もある。新型コロナウイルス対策を機に様々な変化がでてきていますが、良い方向に改善されて欲しい。本書はその手がかりになるかもしれません。


リンク

岩田氏のブログの記事も参考になります。

感染症

Posted by ず@沖縄