機械翻訳は我々の夢だったわけだが

2011/07/28メディア, 書評, 機械翻訳

アインシュタイン その生涯と宇宙()という本が一部界隈で話題になっている。よくある相対論トンデモ本が話題になってるのかと思ったら、実態は想像の遥か上にぶっとんでいた。詳細は、下巻のアマゾンレビューにある松田卓也さんのレビューを見て欲しいのだが、そこから かいつまんで引用:
松田卓也さんのレビュー:

「プランクはいすにいた。」なんですかこれは。原文を読むと、プランクは議長を務めたということだと思います。これらは明らかに、人間の訳したものではなく、機械翻訳です
(中略)
二間瀬さんは社長に、強硬な抗議文を送り、下巻初版の回収を申し入れました。社長も13章を読んでみて驚愕したようです。そして回収を決断しました。

回収については「お詫びとお知らせ」参照。

同ページには松田さんのレビューも含めて、複数の指摘がある。

  • 「とくに「ボルンの妻ヘートヴィヒに最大限にしてください」は、あきれてものもいえませんでした。Max BornのMaxを動詞と誤解しているのです」
  • 「彼は,時には,やかましくこっこっと鳴って,終わりに全体の出来事が「最もおもしろい」と断言した。」(p.39)
  •  「驚異的な場面だったが,それはクリーブランドで超えられていた。数数千が,訪問代表団と会合するためにユニオン列車車庫に群がった,そして,パレードは二〇〇台の酔っぱらっていて旗の包茎(ママ)の車を含んでいた。

なかなかシュールです。読んでみたい気もしますが、止めておきます (^_^;
しかしまあ、機械翻訳の本が堂々と売られる時代になるとは。長生きはするもんだ。

(松田卓也さんの本は良書だと思うので、全部がちゃんとした翻訳であれば良書になったであろうことを考えると残念。相対論的宇宙論 (ブルーバックス)は小学生のころに読んだ記憶がある)。

そう言えば、最近はgoogleの検索結果でも機械翻訳のページやワードサラダがヒットすることが結構ある。そもそも機械翻訳しかヒットしない分野は日本語のページが極めて少ないのでこれはいたし方ない部分もある。あるんだけど、SPAMというか広告目的の釣りキーワード+機械翻訳にぶちあたることもあって、それはすごく嫌。日本語のページでも一見マトモだけどどうにも怪しい、機械生成のページも増えている。
(実際にぶちあたった人でないとわかりにくいと思いますが、当該ページにリンクするのも癪なので、どうにも説明しづらいな… 機械生成されたAll About Japanみたいなページ、といえば判りますかね?)

iPhoneやiPadのアプリでも説明文が機械翻訳っぽいアプリは結構ありますね。ありがたいような邪魔なような。本当の恐怖はそういう文章が当たり前になることかもね。昔に比べると新聞や雑誌や書籍の文章の質もかなり落ちているような気がするし。

「文章の質」みたいに見えにくいものにお金が払われない結果、全体の質が落ちて安物か極めて高価なものしか手に入らない時代なのかもしれません。パソコンの部品なんかもそうですね。昔の8bit機時代のキーボードはそれなりにしっかりしてましたけど、今では安物か数万円のキーボードかの二極になってるし。

大昔にSFなんかで夢見られていた機械翻訳や文章解読がまがりなりにも実用になった時代に、得られるものがこれだったとは。現実は厳しいもんです。


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