昨今は大学の卒業式にまで親が来ていて嘆かわしい、って本当?
twitterのTLで見かけた話題。最近は大学の卒業式にまで親がついてきて云々。ぐぐって見ると同様の意見多数なんだけど、これって本当かいな? 比較対象はいつごろ?昔と比べてどれぐらい増えたの?
(そもそも何で嘆かわしいのか さっぱりわからない。子供の立場からすると、大学生になってまで親に来て欲しくないってのはあるのかもしれないけど)
定量的なデータが欲しかったんでぐぐったんだけど、そういう情報はないですねえ。「戦前の少年犯罪」という本に以下の記述はあるらしい。この本面白そうなので取り寄せ中。
昭和15年、中野好夫は東大の入学試験に親が付き添うことを批判しているし、東京帝国大学で40年ぶりに行われた昭和16年の入学式では、新入生2000人に対して2000人の父兄が同伴した。
ネットで過去の思い出話を探してみた
他に無いかな、と思って探してるんですが、まとまった情報はネットにないんだよねえ。雑誌のバックナンバーや新聞の縮刷版でないと探せなさそうな。安くで探せるデータベースないかな(東京あたりなら国会図書館とか行けばいいんだろうけど)。
- 「30年前に地方の女子大を卒業しました~私の卒業した大学ではたくさんいましたよ」
- 「卒業したのは25年も前だが~友人のお母様方皆来ていましたよ。うちなんて両親に兄まで着いてきました」
- 「40代後半だが、うちの親も友達の親も高校卒業式も大学入学式も来てたよ」
- 「四半世紀前くらいに~当時「東大は保護者に正式な招待状が来て、保護者席も一席ずつある」と聞いて」
- 「もちろん私も30年前の大学入学式には母親同伴で出席しました」
- 「20年ちょっと前に~入学式に出席してみたら、かなりの人数の親が来ていて正直なところびっくりしました」
- 「東大はもう20年以上前から武道館で入学式で、入学生一人に対して家族は四人までって整理券がでてたよ」
昔は大学進学率自体が低い
そもそも大昔は大学進学率自体が低かったので、卒業は一族の誉れであっただろう。バブルの頃(1990年、平成2年)データでも大学に進むのは4人に1人(短大を含めても3人に1人)だ。半数以上が進学するようになったのはつい最近のことだ(2009年)。
昔は大学に進学しているのが少数なので、そもそも出席したことがある・してもらったことがある人は少ないだろう。したがって、当時と比べて客観的な比較ができる人は限られている。
私の母校では就職等の理由でそもそも卒業式に出ない学生も結構いたが、これが普通かどうかはわからない。地理的に遠くの大学だとそもそも出席しづらいってのもあるだろうね。今とは距離感も違うし。逆に旅行を兼ねて出席ってのもあったかもしれない。大学も今のように多くはなかったし。
どなたか、印象論でなしに、データをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
昔の新聞記事の引用を見つけました
http://mimizun.com/log/2ch/newsplus/1211599487/691にありました。元ソースを確認していないのですが、参考まで。
691 :名無しさん@全板トナメ開催中:2008/05/24(土) 17:30:07 ID:3gyT/vuM0
昭和16年(1941).4.8〔東大入学式で父兄同伴〕
東京市の東京大学で、40年ぶりに入学式が執り行われたが、新入生2千人に対して、2千人の父兄が同伴して出席した。
「新入生が春陽を受けて三々五々父母や兄姉に付添われて正門をくぐる風景はちょっと国民学校入学式と似かよった感じである」(東京日日新聞引用)昭和27年3月28日のわれわれ昭和24年入学組の卒業式では矢内原新総長が卒業演説を行った。
卒業式の演壇に上がる新総長の態度はあくまで誠実,真摯、謙虚で、南原前総長に感じられた一種の虚勢というかけれんみのようなものは一切感じられなかった。
私は例によって演説の中身はみんな忘れてしまった。
当日の朝日新聞夕刊によると、「へびのごとく賢く、はとのごとく単純なれ」 とはなむけの言葉を贈ったという。
敬虔なクリスチャン総長の片鱗がうかがえる。ついでに付け加えると新卒業生は2719名(うち女子学生33名)で、当日の卒業式には約2千名の父兄が参列したという。
そういえば講堂の中は学問の場にふさわしくない派手な雰囲気であった。『毎日新聞』「大学の幼稚園化」1961年4月16日付
ことしの入学式をみると、父兄の同伴が意外なほど多い。入学試験日、入学手続き、またしかり。
(中略)「いなかのオヤジを東京に呼んで」などというせりふではなく、「おとうさんにつれられて」大学にやってくるのが、最近の新入生だといえそうである。
いってみれば、大学もしだいに「幼稚園」に近づきつつあるということらしい。
東京大学広報に見る変化
卒業者数に大きな差はありませんが、父母の来場者数は増えているようです。
冒頭で引用した戦前の少年犯罪では「昭和16年の入学式では、新入生2000人に対して2000人の父兄」ですから、学生と保護者の比率は昔からさほど変わっていないようです。
今も昔も親心に大きな違いはないのかもしれません。
平成13年度卒業式が、3月28日(木)に、大講堂(安田講堂)において挙行された。式には、約3,014人の卒業生(卒業者数3,407人)とその父母など約2,600人(いずれも2回の合計)が出席した。
約2700名の卒業生(卒業者数3,161名)が出席した。
(中略)
ご家族など約2,900名が出席した。
1968年3月28日の写真が毎日新聞サイトに掲載されています。このころも卒業式に父母が出席していたようです(人数や割合まではわかりません)。
東大医学部のスト処分問題が発端となり、学生は卒業式阻止を叫びデモや集会。卒業式に出席しようと安田講堂を訪れた父母たちは阻止集会の横で困惑の表情。
写真特集:卒業:笑顔、涙 緊張……巣立ちの風景さまざま1968(昭和43)年3月28日
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