中日電工さんのキットが凄い

読み物, 電子工作

探し物をしていたら凄いページを見つけてしまい大はまりしてしまった。これを分かち合いたいと思い、ここに記しておく。

そのページは中日電工さんのサイトにある。「中日電工? なんだか記憶にあるぞ?」と思った人が この記事の対象読者だ。おっさんホイホイかもしれない。


中日電工さんって?

8bitマイコンキットTK80が馬鹿売れしていたころ、TK80コンパチブルなマイコンキットが多数発売されていた。TK80が88,500円で高値の華だったころに半値ぐらいで売られていたキットたち。そのキットを発売していたメーカーの一つに中日電工がある。

I/O誌やトランジスタ技術に掲載されていた 当時の広告を見ると懐かしく思い出す人もいるのではなかろうか?

その会社が今でも現役でZ80のキットを売っている。それだけでも凄いのだが……
互換機の時代に掲載されている互換キット屋さんのうち、残ってるのは中日電工だけかもしれません)

74シリーズICで8080を作るキット

その中日電工さんが8080CPUの組み立てキットを作成した記録が「TTLでCPUを作ろう!」に掲載されている。全800回を超える連載だ。

8080CPUを使ったキットではなくて、8080CPUを作るキットというところが凄い。入手困難なICを避けたためにICだけで270個も使う。なのに5万円でお釣りがくる。買って組み立てた人が何人も居る。いやー凄い世界だ。

7セグメントのLED+16進キーボードなのはTK80に同じ。カセットI/Fの替わりにUSB I/Fが付いていたり、ROM/RAMはフル実装で独自開発のBASICコンパイラが付いていたりするのは今風か。

これらのハードウェア・ソフトウェアを、一人で開発して発売してサポートしているというのも凄すぎる。

中日電工さんの組み立て説明書

TTLでCPUを作ろう! 第286回からキットの組み立て説明書が紹介されている。相当なページ数だ。学習教材並の詳しさと量である(第339回に写真あり)。8080のレジスタ全部にLEDが付いてたり、学習向けとしても優れている気がする。

中日電工さんはWindows7 PCの組み立てキットも発売したことがあり、その説明書は第712回にて紹介されている。なんと A4 62頁。パーツ個々の説明書とは別に作成しているところが、並みの組み立てキットではない。

ハード屋さんの世界

連載を読んでいると「この問題はハードじゃなくてソフト的に解決」した方がいいんじゃないかと思う部分が多々でてくる。でも、筆者には当たり前すぎて書いてない世界がおぼろげに見えてくるまで連載を読み進めると、これしかないんだろうなと思えてくる。

ソフトを作ってる側の感覚とは違う世界があって、それは今風のハードウェアの世界とも違う独自の世界なんだろうなと思う。何しろ1980年の設立以来8080/Z80互換ボード一筋の会社だ(第358回から創業当時の話がある)。

連載自体は組み立てキットを作るための作業記録と言った方が正しい。前提知識がある程度ないとわかりにくいだろう。トップダウンで書いてくれればわかりやすいと思うし、読み物として出版するのならそうすべきなんだろうけど、それでは泥臭い現場の迫力が薄れてしまうだろうとも思う。

完成させることを楽しむ世界

このキットはICを270個も使うし、私にはとても組み立てきれない。どれぐらいの人が買うのかと思いつつ連載を読み進めると、初期ロットは瞬時に完売し今でも注文がポツポツあるようだ。購入された方も基盤のデバッグを楽しみながら作ってるようで、こういうのも楽しそうだなと思う。

昔の雑誌掲載のソフトウェアも バグを取って報告したり・互換性のない他機種に移植してみたり、手間隙かけて遊んだものだった。そもそも雑誌から打ち込むときに間違えるから、デバッグできなければ遊べなかったし。ダウンロードしてそのまま動くのが当たり前になった今だと忘れてしまいがちな感覚だなあ。

8080互換であることの意味

私が設計するなら、無理に8080互換にして回路規模が増えるよりも、RISCっぽいアーキテクチャーにしてソフト側に負担をかけるだろうと思う。他のCPUを自作された方の記事(RETROF-8全回路図)でも、アーキテクチャーを簡略化することで回路を簡単にしている。

中日電工さんは、自社の持つソフト資産(モニタやBASIC)を生かす意味からも8080CPU互換にしたらしく、購入された方もTK80風に遊んでいるようだ。青春を8080と共に過ごした人には8080互換は譲れない一線なのかもしれない。

パーツ流通とホビー

汎用ロジックIC(74シリーズ)でCPUを作成する場合のネックになるのが部品の入手のようだ。中日電工さんではALUに最適な74181は入手できなかったようだ(第131回)。仮に少数入手できたとしても、キットとして発売することを考えたら採用は難しかっただろう。

CPUを自作した他の方の記事には「私は幸運にも74181、74LS381、 74LS382を入手することができましたが、関東一円を走りまわりましたし、在庫確認の電話も何度もかけています」(ALU用のTTLの決定とその周辺の回路設計)と、書かれている。

趣味として遊ぶのに適したパーツが徐々に入手困難になるのはアマチュア無線界も一緒で、アマチュア無線界の自作の友であったミズホ通信FCZ研究所も無くなってしまった(キャリブレーションがFCZのキットを引き継いでいるようです)。

レトロマイコン系はいつまで元気でいられるだろうか……

結論

ということで、いろいろ書きましたが、とにかく読め! ですね。

ついでに、CPU自作系のページへのリンク集を作りました。御参考まで。

読み物, 電子工作

Posted by ず@沖縄