久米島のキノコ雲報道メモ
米軍が通常とは違う何らかの訓練をしたんじゃないかなーというのが、現時点での想定だと思うけど、Twitterみてると例によってトンデモブログ発の情報が行き交ってる。
混乱した情報が広がるのは好ましくないので、現時点での情報をここにメモしておく。
第一報 琉球放送(2014/05/21)
この時点で該当の方向には米軍の訓練場があり、「特別な訓練をやっているとの情報提供は受けておらず」、つまり普通の訓練は行っていると読み取れます。
こういうときの米軍は訓練の詳細については言わないものだし、防衛施設局も突っ込んで聞き出したりはしない、ということは よくある話。
米軍回答の通り通常の訓練であるなら「どうして今回だけこのような噴煙や振動があったのか?」ということが疑問点です。
(追記:後述のように轟音や振動は普段からあるようです。訂正いたします)
「ドン」という大きな音がして地面が揺れたあと、島から北の方角の沖で、きのこ雲のような煙が高く上がっていたということです。
島の北およそ28キロの沖にはアメリカ軍の鳥島射爆撃場がありますが、男性は「長年、久米島に住んでいるがあれほど大きな噴煙を見たのははじめてだ」と話しています。久米島の北東方向に位置する渡名喜島の役場にも住民から同様の情報が寄せられていますが、沖縄防衛局は、「アメリカ軍側から特別な訓練をやっているとの情報提供は受けておらず、確認もできていない」としています
https://www.youtube.com/watch?v=ekvXQb7UOGM
久米島沖で爆発音 きのこ雲を確認 | RBC琉球放送(2014/05/22)
訓練自体は、前もって公表されています。久米島、渡名喜島との位置関係もわかります。
(距離的には東京駅〜横浜駅ぐらい。横浜駅にキノコ雲があがるのが東京駅から見えたら怖いよね……)
- 十一管区水路通報
- 26年368項 沖縄群島 鳥島付近 射爆撃訓練実施 平成26年4月24日(平成26年5月4日~31日(0600-2400))
26年368項 沖縄群島 鳥島付近 射爆撃訓練実施 平成26年4月24日(平成26年5月4日~31日(0600-2400))
第二報 沖縄タイムス (2014年5月21日 23:49)
琉球放送とほぼ同内容。琉球放送と沖縄タイムスは関係が深いので、そのルートで情報が行ったのだと思う。
(後追い報道ではないかという指摘を受けました。御詫びして訂正いたします)。
このころから「特別な訓練を実施していない」が「訓練を実施していない」という伝言ゲームになったTweetを見かけるようになる(追記:その後、極秘訓練に進化してます)。
男性は「あれほどの爆発音は聞いたことがない」と話した。町の北方28キロには、米軍の鳥島射爆撃場がある。 町役場は「爆発場所は断定できないが、鳥島射爆撃場だと考えられる」と話している。
沖縄防衛局は「米軍は、特別な訓練を実施していないと回答した」と説明している
久米島北方で爆発音 黒煙上がり地面揺れる | 沖縄タイムス
(この記事が共同通信の47newsにも掲載されています(久米島北方で爆発音 黒煙上がり地面揺れる – 沖縄のニュース – 都道府県別 – 47NEWS(よんななニュース))。これは沖縄タイムス記事の紹介であって、共同通信として配信したものではないと思われます)
続報 琉球放送&沖縄タイムス&琉球朝日放送 (2014/05/22)
当該時刻に訓練があったことが確認されたのですが、相変わらず詳細は不明。いつもの米軍です。
アメリカ軍は、22日、沖縄防衛局を通じて久米島町に対し21日午前10時から11時の間にアメリカ軍機が鳥島射爆撃場で訓練を行ったことを明らかにしましたが使用した機種や具体的な訓練内容は明らかにしていません。
久米島町では以前に鳥島射爆劇場で劣化ウラン弾の誤射があったことから島の北側の5か所で22日、放射能の測定調査を行いましたが異常は確認されなかったということです。
きのこ雲 アメリカ軍が訓練 | RBC琉球放送
防衛施設局が22日、米軍に確認したところ、21日午前10時から11時ごろ、米空軍が鳥島射爆撃場で航空機を使った訓練を実施したとの回答があった。しかし、運用上の理由で、訓練内容などについての情報提供はないという。
久米島町役場は、住民からの連絡を受け22日、町宇江城地区など5カ所で放射線を測定し、数値に異常がないことを確認した。住民から役場に「放射線が出ていないか」など不安を訴える問い合わせが2件あり、実施した。
米軍訓練内容明かさず 放射線調査は異常なし | 沖縄タイムス
琉球朝日放送も報道。こちらも琉球放送と関係が深いです。
アメリカ空軍は、QABの問い合わせに対し、「日米両政府で認められている、予定された訓練を鳥島で行った。弾薬は標的に着弾しており、決められた安全手順に従っている」と回答しました。
全国ニュースになる (2014/05/22 17:10)
全国ニュースにならない!隠蔽だ!と Twitterで騒ぐ人がいたけど、ちゃんと報道されてた。
JNNは琉球放送が系列になっています。
「きのこ雲は核爆発だけと思いがち。大規模爆発の場合は核兵器を使ったのと同じような雲ができることがある」(軍事評論家 小川和久さん)
海上保安庁は、在日米軍の訓練のため、今月末まで鳥島周辺への立入禁止を呼びかけています。
沖縄防衛局はJNNの取材に対し、「在日米軍によると、昨日10時から11時にかけて航空機訓練が行われたが、それ以上は情報を得られなかった」としています。(22日17:10)
沖縄・久米島で「きのこ雲」と爆発音、米軍訓練か(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース
現時点では琉球新報の紙面や沖縄テレビのWebには記事は掲載されていないようです。
(5/23朝のテレビ朝日でも報道してたと聞きましたが、私には確認できていません)
琉球新報に掲載される(5/24朝刊24面)
重要な記事でなければ 時間差がつくことはよくあるので、琉球新報的には大ネタではないという判断なのだろうか。
記事見出しは「久米島沖で黒煙」となっています。
Webには現時点では掲載されていません。紙面の全記事がWebに載るわけではないので、掲載されるかどうか。
キノコ雲の成因は?
Wikipediaに解説と写真があります。
キノコ雲の生成される要件は熱気の塊の急速な出現であり、爆発や燃焼は必ずしも必要ではない。
Wikipedia:キノコ雲
大規模爆発の際にキノコ雲ができることは、3.11の時のコンビナート爆発でも確認されています。
情報が明らかになるのが遅い?
米軍と防衛施設局が絡むとこんなもんです。お役所ですし。
訓練域だから近寄って調査することもできません。
以前、米軍訓練照明弾によるUFO騒ぎがあったときは、米軍から真相が明らかにされるまで5日かかっています。
23日午後9時ごろ、那覇市の西の上空で目撃された複数の光について、在沖米海兵隊報道部は28日、所属機が発射した照明弾だとの見方を示した。
本紙撮影の動画を確認した上で、「第3海兵遠征軍が那覇市の南西の射爆撃場で、航空機からの照明弾発射を伴う訓練をしていた」と認めた。
本当の問題は?
毎度のことながら、住民が生活している近所で頻繁に訓練が行われていて、異常らしき現象があっても回答に時間がかかることにはうんざりです。FNNのニュースでもこう指摘されています。
ここでは、97年、アメリカ軍が誤って劣化ウランを含んだ弾薬を使って訓練していたことが発覚しました。しかも、アメリカ側が日本に通報したのは1年以上後で、アメリカ軍への不信が高まりました。
高里町長は「劣化ウラン弾について一定の理解はしたが、住民への不安が十分解消されたわけではない」として、健康診断を要求。さらに「鳥島は実弾射撃で島の形がどんどん変わってしまい、不発弾でいっぱいだ。劣化ウランの問題だけでなく、これ以上の実弾射撃は認められない」とし、鳥島射爆撃場での実弾演習中止と全面返還を求める町の立場を関係省庁に伝えるよう要請した。
(中略)
訓練中の米海兵隊のAV8Bハリアー戦闘攻撃機が95年12月から96年1月までの3回、鳥島射爆撃場に1520発の劣化ウラン弾を誤って発射した。現在までに247発しか回収されず、8割以上が同島に残されたままとなっている。文科省、久米島で住民説明会/鳥島射爆場米軍誤射 – 琉球新報(2003年5月28日)
沖縄県からの正式な要望も(何度も)出ています(強調は私)。長いですが、PDF全文を読むことをお勧めします。
8. ホテル・ホテル訓練空域の一部解除、鳥島射爆撃場及び久米島射爆撃場を変換すること
(中略)
沖縄県周辺海域には、日米地位協定に基づく広大な米軍提供水域が設定され、漁場が制限されているとともに、漁場間の移動に大きな制約を受けております。また、平成20年4月には鳥島射爆撃場の訓練水域外において米海兵隊所属機による爆弾の誤投下事件が発生するなど、漁船の安全操業がおびやかされております。特に、鳥島射爆撃場については、長年の実弾射爆撃訓練により、島としての形状を失いつつあり、我が国の領土保全上、重大な問題であります。
大騒ぎしていたブログでも「真相は米軍の訓練!」で片付けてるところが多いけど、問題はそこじゃないのよ……
追記:空間放射線量は?
この件の後から空間放射線量が増えてる!と騒いでいるブログがあったりします。おおむねこんなグラフが貼られている。
(下のグラフは私が故意に加工したものです)
「空間線量グラフ[全国版] ©秘密結社なまこ組」を元に加工してあります。
これは期間の切り出し方法のマジック。月間で見ると特に問題はないし、直近では平常値に落ち着いている。
雨が降ると空間線量率が上がるのは良く知られている話(環境放射線モニタリング情報(解説))。沖縄は5月5日から梅雨入りして連日雨が降っているので、それで変動しているのだと思われます。
追記:久米島町のお知らせ(2014/5/23)
人口の少ない自治体が、この手の問題の対応に手間暇を割かされるのも負担なんだよね。
その後、その付近において特に変わったことや、これに伴う情報はありません。
町としては、定期的に測定している場所において放射線量をはかりましたが、通常測定している値と変わりませんでした。今回は、念のため他の場所においても測定しています。
(略)
町では、沖縄防衛局をとおしてアメリカ軍に対し、使用した機種や訓練の具体的な内容について問い合わせる予定です。
上記お知らせの下には「不発弾等探査要望者募集-久米島町役場ホームページ」があるし。
海外にも伝わる
ただしソースは2ちゃんねる、だったり。海外トンデモサイト(英語、中国語、韓国語は確認)にも載ってますがリンク貼るのも馬鹿らしいので省略。
在日本2ch网站论坛上,立即有日本网民进行着各种猜测。有日本网民称,很有可能是美军在当地进行爆炸训练。还有网民质疑,“这该不会是海底火山喷发吧?”不过,也有日本网民大胆猜测称,有可能是日本自卫队在进行小型核试验。
近いうちに、これらの記事が逆流して来て「日本の国内メディアでは隠蔽されている!」になりそうな予感がする。
追記:現地の方のTweet
https://twitter.com/Shin_Okamura/status/469085537400131585
https://twitter.com/Shin_Okamura/status/469089222565969920
https://twitter.com/Shin_Okamura/status/469094234922840066
振動の発生元は やはり鳥島射爆撃場付近
気象庁の地震計でも、それに該当すると思われる時間に振動波形が記録されています(図1、図3)。
振動が空中音波であると仮定して震源決定を行ったところ、久米島北方の鳥島付近に位置が決まりました(図2)。発震時は10時29分34秒と10時30分06秒です。
鳥島を震央とする空中音波振動は過去にも記録されています(図4)。
追記:RBCがYouTubeに掲載した動画が消えている件(2014/06/06追記)
“琉球放送株式会社 – YouTube” から一覧を見ればわかるけど、ニュースは掲載期間1週間のようです。メディア関係のWebサイトは掲載期間限定のところが多いですね。
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