フローとストック – twitter と blog と wiki
「フロー」と「ストック」という概念があります。フローはどんどん流れていきます。ストックは長く生き残ります。twitterはフローです。ブログはストックです。まとまった考えを書いたなら、後からでも見てもらえるようにストック側に残しておきたいものです。
それは何か違うんじゃないかな、と思う。確かに相対的な「情報量・速度」は twitter が「短く・速く」、ブログは「長く・遅い」。でも、だからといって「ブログはストックです」ってのは変だと思う。
週刊誌は新聞に比べて刊行間隔が長いし、より長文が書ける。だからと言って、「新聞はフローで週刊誌はストック」と言えるだろうか? 古新聞の束はストック情報だろうか?
左の文章は、15年ほど前に刊行された ある書籍の中の私の言葉。インタビューに答えたものだ。画像だと読みにくいから下に抜き出しておく。
「ウェブのホームページは最新情報を流すものではなく、レファレンス(参考文献)」と言い切る。
「例えて言えばウェブが六法全書なら、メーリングリストは最新の法律や判例。ウェブには事典のような体系化された情報が載っているべきで、最新情報そのものを見るよりも、その最新情報が、体系化されたなかでどう位置づけられるのか評価を確認するためのもの。それに対してメーリングリストは最新情報を速報する役割ですね」
1996年の話なので メーリングリストとWebの比較になっているが、今なら、twitterやblogと Wiki とでも書くところだろうか。ある時点との現時点との差を伝えるメディアと、それを蓄積するメディア。情報の微分と積分のような関係が、フローメディアとストックメディアだと思う。
(もう少し前なら、メーリングリストとFAQが例だったかな。いつの時代もフローとストックが存在する)
フローとストックを分けるものは、体系化だったり価値判断だったり継続的な更新だったりするわけで、それは例えば「目次・索引」「分類・配列」「更新履歴」として現れてくる。そういう要素を欠いた「まとめ」は、新聞で言えば古新聞。古い新聞をまとめて読みたいという要求もあるけど、ストックとはまた別物だと思う。togetter や にちゃんねるまとめ が、あまり「まとめ」っぽくなくて付加価値を感じないのはそんなところにあるだろう。
だとすれば、「もしブログをストック的に使うにはどうすればいいか」という答えは自明だ。Wikiにはそのような機能があるし、Wikipedia が使っている MediaWiki は現時点での解になっていると思う。 さて、それは はてなブログには存在するのだろうか?
以下、余談:
私はまとめっぽい情報はWikiに書いたり、wordpressのページ側に書いているんだけど、「どちらに書きたいか」はどうやら「日付を付けたいかどうか」で判断しているようだ。
それからすると、ブログで本質的なのは「日付が入っていること」だと思う。ブログはフローだから日付を必要とする。Wikipediaにも更新日付はあるが、それはブログの日付とは意味合いが異なる。新聞の日付と、書籍の発行日の違いのように。
昔 書いた記事。同じようなことを何度も書いてるのは、私の問題意識がそこを向いているからだろうな。
- フロー情報とストック情報(2003/06/05)
- フローとストックとマッシュアップ(2007/09/24)
- ず’s » 記事「新聞・テレビ断末魔」(東洋経済)、そしてフローとストックを考える(2010/02/25)
- (この時点でまとめたリンク集があります。参考になると思う)
リンク:
- ストックやフローの議論ではなくはてなの近藤社長に本当に語って欲しいこと(Future Insight)
- フロー型とストック型のWebサービス(webweb @tsuj)
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