古代ローマにペンギンは居たか?

歴史, 読み物

「古代ローマにはペンギンが居た」というつぶやきが twitterでRTされてきた。本当なら面白い話なので、ちょっと調べてみた。プリニウスの博物誌にある、とのことだが。

ペンギンは南極だけに住んでいるのではなく、赤道直下にもいるというのは知っているんだけど、古代ローマというのはありそうななさそうな。


まずはWikipedia日本語版のペンギンの項。Wikipediaも信用すると痛い目に会うんだけど、まずはとっかかりとして。

ペンギンの西洋世界での認知は、温帯産ペンギンについては大航海時代に始まる。亜南極産は18世紀以降、南極産は19世紀以降のようである。

wikipedia:ペンギン
どうも、古代ローマに居たような記述ではない。日本語版だけでは情報がないので英語版(Penguin)も見てみよう。

英語版はペンギンの起源や進化についての記述が詳しくて面白い。日本版と英語版って拘る部分が違うんだよなあ。 さて、ペンギンという単語については、このような記述がある。

The Great Auk of the Northern Hemisphere, now extinct, was superficially similar to penguins, and the word “penguin" was originally used for that bird, centuries ago. They are not related to the penguins at all, but are an example of convergent evolution.

wikipedia:Penguin

元々はペンギンという単語はオオウミガラス(Great Auk)を指していたらしい。収斂進化により今のペンギンに良く似た姿だったとのこと。実際、Wikipedia(オオウミガラスGreat Auk)に掲載されている写真はペンギンそっくりである (左写真。英語版Wikipediaより)。残念ながら、オオウミガラスは乱獲により絶滅してしまったらしい。

かつては、オオウミガラスは「北大西洋と北極海に分布していた」ということなので、この鳥がローマに居たのだろうか? ぐぐると、それっぽいことを書いているページはあることはある(Wild Animals at the Colosseum)が、典拠不明。



ローマ時代のオランダには生息していたらしい、というのは確からしいのだが。左図の生息範囲図でも北大西洋が主で地中海にいたかどうかはわからないい。
The Great Auk (Pinguinus impennis) in
the Netherlands during the Roman Period



プリニウスの博物誌についてはWikipediaの博物誌をたどることで、原文を参照することができた。記述言語はもちろんラテン語である。恐ろしいことにgoogle翻訳はラテン語も対応している。

ざっと鳥類の項を見てみたけど、それっぽい記述がない。翻訳が変なのか探し方が悪いのか。そもそもPinguinus で探していいのやら。
(この手の古典がオンラインで読めるのは良いですね。国立国会図書館デジタル化資料も本文検索できるといいんだけどな)

結論:よくわかりませんでした。ただ、仮にペンギン類似の鳥が居たとしても、それは Great Auk のような気がする(単なる推測です)。

もうちょっと調べて、わかったら追記するようにします。



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Posted by ず@沖縄