名護市長選の有権者数3000人増加について

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前回の名護市長選と今回の選挙の間で、有権者数が3000人増えたことを不正選挙だと匂わせる記事がfacebookやtwitterで時々流れてきて頭痛いです。元記事の宣伝するのは嫌なのでリンクしませんが、適宜検索すればヒットすると思います。

その記事では、以下の2つの記事を根拠としています。琉球新報記事では「当日有権者数は4万6582人」であり、時事では「有権者数は先月27日現在で4万9372人」となっています。4年間で差し引き2790人増えています。なぜ増えているのでしょうか?

選挙権年齢の18歳引き下げ

実はこの2つの選挙の間には有権者数を増やす大きな変化がありました。2016年6月19日に選挙権年齢は18歳に引き下げられています。当然、有権者数は増えます。

引き下げ直前・直後の選挙の有権者数を名護市選挙管理委員会 お知らせページから調べたところ、直前の2014年12月14日の衆議院選挙では47,164人、直後の2016年7月10日の参議院選挙では49,096人です。差し引き2000人ほど有権者が増えています。

名護市人口ビジョンによると15〜19歳人口が4000人ほどですので、新有権者(18-19歳)が2000人増えるのは妥当です。


時事記事は選挙人名簿登録者数を有権者数と書いている

時事の記事には「有権者数は先月27日現在で4万9372人」とありますが、これは選挙人名簿登録者数です。選挙管理委員会のページにも同じ数字が掲載されています。

選挙人名簿登録者数
   (平成30年1月27日選挙時登録)

男:24,331人
女:25,041人
計:49,372人

これは当日有権者数ではありません。宜野湾市のページにわかりやすい説明があったので、引用します。

平成28年1月24日執行の宜野湾市長選挙に際し、平成28年1月16日を基準日とし同日に選挙人名簿の登録(選挙時登録)を行い、73,593人が選挙人名簿登録者数となりました。
なお、転出者については公職選挙法第28条の規定により転出から4ヶ月を経過後に抹消することになっていることから、選挙時登録における選挙人名簿登録者数には平成27年9月16日以降の転出者もすべて含まれております。

当日有権者数は、選挙当日における市長選挙の有権者数となり、転出者や死亡者は含まないことから平成27年9月16日以降の転出者等(死亡者含む)を除いた数(72,526人)が当日有権者数となっています。

要するに選挙人名簿には直近4ヶ月間の転出者(と1週間の死亡者)も含まれていて、当日有権者はそれを含まないわけです。今回、当日有権者数は48781人でした。選挙人名簿の数から591名減っています。前回と有権者数同士を比べると2199人の増加です。この数字は選挙権18歳引き下げで増えた数字(約2000人)とほぼ同じです。結局、記事で増えたと書かれている2790人は、選挙権18歳引き下げと、名簿・当日有権者数の混同で大半が説明できます。

なお、減少した591人は4ヶ月間の転出者数によるものがほとんどでしょう。名護市人口ビジョンによると、年間の転出数が3300人程度、死亡者数が500人程度です。4ヶ月間の転出数はざっくり1100人程度、1週間死亡者数は50人ぐらいの計算になります。ちょっと転出数が過大ですが、転出のほとんどは年度末・年度始めの市外への就職・就学でしょうから、それ以外の期間ならこんなもんでしょうか。
(なお、転入人口があるので市の人口がごっそり減っているわけではありません。あくまでも有権者数に限った話です)。

他の差は?

実は人口が増えなくても、少子高齢化の影響で有権者数は増加します。18歳未満の子供の割合が減るからです。名護市人口ビジョンによると、2010年から2015年にかけて名護市の人口は495人増加しましたが、15歳以上の人口は1009人増えています。その差の514人は15際未満の子供の減少によるものです。大雑把に考えて、この効果で年間100人程度は有権者が増加しているものと考えられます。

ただし、この効果もいつまでも続くわけではなく、超高齢化に伴う死亡増により人口減・有権者数減少が起こると思われます。

結論

元記事による有権者数の差2790名は、選挙権18歳引き下げ・選挙人名簿と当日有権者数の混同・高齢化による有権者の増加によるものと考えられます。

そもそも去年の参議院選挙、衆議院選挙と比べると有権者数減っているんだよな。そのあたりはどう考えているんだろう?

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