ベーシックマスターのソフトウェア(6)1200bps Turbo ROM

BASICMASTER, 昔のパソコン

「300bpsカセットテープI/O」の続き。今回は BASICMASTERの1200bps Turbo ROMについて。

前回、300bps I/Oでは、「2.4KHzの場合は8波、1.2KHzの場合は4波を送出」と解説した。これを2波と1波にすれば4倍の速度になる、というのは早い時期にわかっていたようだ。

1979年か遅くとも1980年には有志による1200bpsルーチンの実装があったはず。

月刊I/O 1982年10月号 「ベーシックマスター Jrが1200ボーに! ROM書き換えサービス」p.259より引用



本家日立からも 遅ればせながら、1982年秋になって Turbo ROMが発表・出荷された。
(広告から推測すると1982年の9月か10月だと思われる)。

I/O 1982年10月号の日立家電販売の広告では「Turbo感覚 Jr.」として宣伝されている。
宣伝文句によると利点は下記の通り。

  • BASICの中間言語をそのままSAVEするので速い
  • ボーレートを1200ボーに4倍高速に。
  • 256バイト単位の分割を止めて、ヘッダやギャップを省く。
  • オートラン機能を搭載。
  • サウンドモニター方式(ファイルを見つけると確認音)。



ちなみに Jr出荷は1981年末で、1年間は300bpsのまま他社機と戦っていたわけだ。
(ソフトだけで改良できたのだから最初から載せておけよ、と思うのは私だけ?)

BM Jr. Turbo ROM搭載機の型番

BASICMASTER Jr. は 後期バージョンからは1200bps Turbo ROMが標準搭載されていた。初期バージョンはMT用ROMが積まれていたらしい。

初期バージョンは型番がMB-6885。定格消費電力13Wは いまどきのCPUのアイドル時電力よりも低い。




後期バージョンでは型番がMB-6885Tに変更されている。ヤフオクなどの出品を見ると、Tの部分が手書きやスタンプの個体もある。




Tバージョンには、MP-9730(Turbo ROM)が搭載されている。使われている石は富士通のMB8516(UVEPROM)である。



BM Jr. Turbo ROM交換・書き換えサービス

旧バージョンを買った人のために販売店によるROM交換サービスが行われていた。

型番のTが手書きやスタンプの個体は、ROM交換サービス済のものなのだろう。


月刊I/O誌でも1982年10月号のpp.259-261に記事「ベーシックマスター Jrが1200ボーに! ROM書き換えサービス」が掲載され、交換サービスが行われた。

I/O誌のサービスで交換したROMが載った個体の写真が下記ページに掲載されている。レアな写真だ。



ヤフオクで売られている個体には、TurboROMでない初期版もある。MB8516なり2716互換UVEPROMを買ってきて置き換えれば良いのだが、いまさら2716を焼くのも大変である。

28C16で置き換えできそうなので、これもいつか試してみたい。

ハード的な相違

I/O誌の記事のROM書き換えサービス記事には、書き換えたROMに置き換える作業の他に、コンデンサ1個を半田付けする必要があると書かれている。それはどれだろう?

L2IIとJr.のカセット周りの回路図を比較すると、PLL IC LM565Nの REFERENCE OUTPUT の先に C121 10μF 25Vが追加されている。

これは1980年3月時点の回路図に存在するので Jrになった時点で、追加されたものだと思われる。なので、これではない。

インターフェース1981年5月号 「ベーシックマスター・レベルIIの回路図解剖」 p.175より引用

I/O 1980年3月号 「ベーシックマスター Jr. 全回路図集」 p.290より引用



Hitachi MB-6885 Basic Master Jr. – Old Crap Vintage Computingには、I/OシールのあるROMがあり、基板写真も掲載されているので、こちらを調べてみよう。

基板の背面写真を見てみると、PLL IC LM565Nの近くにコンデンサが追加されているように見える。

表面を見ると、C117(0.0047μF)が無い。



手元のMB-6885T。右側のコンデンサはPLL出力のローパスフィルタ用で、手前からC119,C118,C117,C116。C117が0.047μF(473K)なのがわかる。

JrとL2IIの回路図では0.01μF(103K)なので、この部分が変更されたコンデンサと推測できる。復調後のローパスフィルタの周波数を下げているのだろうか。



Old Crap Vintage Computingの基板裏面の追加コンデンサを追っかけてみる。

配線を見るとC116(0.01μF)とC117(0.0047μF)と並行に0.047μFのコンデンサが追加されているように見える。

この接続だと R54が短絡されるんだけど、これで良いのだろうか。単にC117を置き換えるのが正しいように思えるのだが。