ゆくし
これは私が寄宮中学時代・那覇高校時代に同級生と遊んでいたトランブゲームです。
いまだに同じゲームを聞いたことがないので、もしかしたら、誰かのオジリナルかも
しれません。面白いゲームですのでここに記録しておきます。
「ゆくし」というのは琉球語(沖縄方言)で「嘘」のような意味なのですが、
メジャーなトランプゲームである「ダウト」とは微妙に違いますし、こちら(ゆくし)の方が「ダウト」に比べて奥が深いように思います。
ゲームのやり方
遊ぶ人数
2名以上であれば遊べますが、経験的に4-6名程度が盛り上がります。
2名で遊ぶにはかなりのノウハウが必要ですので、最低3名は居たほうがいいでしょう。
使うカード
ジョーカーを除く52枚。
勝利条件
自分の手札を0にすること。人数が多い場合は、手札が0になった順に勝ちです。
ただし、最後の手札を全て出したあと以下のどれかが成立する必要があります。逆に言えば、最後の手札を出したあと誰かに「ゆくし」と言われて、それが嘘だった場合には勝利ではないわけです。
- 全員パスした
- 誰かが手札を出した
- 誰かに「ゆくし」を宣言されたが、出したカードは正しいカードであった
用語
こんな言葉を使って遊んでいたわけではありませんが、
説明の便宜上、用語を定義します。
- 主導権: カードを出す権利。
- ターン: 主導権を持つプレイヤーがカードを出してから、ターン終了まで。以下の行為でターンは終了する。
- 他の全てのプレイヤーが「パス」を宣言した。
- 誰かが「ゆくし」を発声し、正解・不正解に応じた処理が完了した。
ゲームの開始
初回のゲームは、ジャンケン等の何らかの手段で、最初にプレイする人(最初に主導権を持っている人)を決めます。
(2回目以降のゲームは、前の回の勝者からプレイします)
カードを主導権のあるプレイヤーから、時計回りに、1枚ずつ配ります。
プレイ方法
主導権を持つプレイヤーがカードを出します
まず、主導権を持っているプレイヤーが、自分の手札からn枚のカードを中央に伏せて出し、
同時に「xがn枚」と宣言します。例えば「3が4枚」等です。
出したn枚のカードは、本当にxがn枚かもしれませんし、まったく違うカードかもしれません。
残りのプレイヤーは、以下のどれかの動作を行ないます。
「ゆくし」の発声は非同期で構いませんが、カードを出す、あるいはパスをする場合は、時計まわりに順に行ないます。
- (誰でも)非同期に、「ゆくし」と発声することで、そのカードを確認することができます。
発声のタイミングは、麻雀の「ポン」のような感じです。
- (次の順番の人が)「xがm枚」と発声し、m枚のカードを中央に伏せて出す。xは主導権を持つプレイヤーが発声したのと同じ数値である必要があります。例えば、最初のプレイヤーがAが1枚と宣言したら続くプレイヤーはAをm枚と宣言することしかできません(枚数は1-4枚であれば何枚でもいい。5枚とかいってもいいけど、自滅します)。
☆このタイミングを調整することで「ゆくし」を誘発したり/押えたりするのは高等テクニックです。
- (次の順番の人が)「パス」を宣言する。カードは出さない。
カードを出した場合、主導権はそのプレイヤーに移ります。最後にカードを出したプレイヤーの次の順番のプレイヤーから上記のどれかを続けて行います。
パスが一順し、主導権を持つプレイヤーまで回って来た場合
(最後にxがn枚と宣言したプレイヤー以外のプレイヤーが全てパスした場合)、
中央に伏せてあるカードを流します(ゲームから取り除く)。
これらのカードは、本当は何であったのかは不明のままになります。誰も見てはいけません。
「ゆくし」であると見破る
他のプレイヤーが出したカードが、「嘘」であると思ったプレイヤーは、
いつでも「ゆくし」と発声することで、そのカードを表にすることができます。
もし、同時に2名のプレイヤーが「ゆくし」と言った場合は、カードを最後に置いたプレイヤーから時計回りに近い人がめくる権利を持ちます。同時ではない場合は、先に発声した人が権利を得ます(麻雀の頭ハネと同じです)。発声した人が1名の場合は、もちろんその人がめくる権利を得ます。
「ゆくし」を発声したプレイヤーが、「直前に出された」プレイヤーのカードだけを表にします。
例えば、Aが「2が2枚」と出したあと、Bが「2が3枚」と出したカードが嘘だと思い、
「ゆくし」と発言した場合、Bのカードだけが確認できます。Aのカードは見てはいけません。
そのカードが「そのカードを出したプレイヤーの宣言通りのカードでない」場合は、
そのカードを出したプレイヤー(最期にカードを出したプレイヤー)が「中央にある全てのカード」を引き取ります。
主導権は「ゆくし」を発声し、カードをめくったプレイヤーに移り、
次のターンになります。
例
- Player 1. 「2が3枚」
- Player 2. 「2が1枚」
- Player 3. 「2が1枚」
- Player 1. 「ゆくし」
- 確認すると、Player 3のカードはJであった。そのため、中央にあるカード5枚を
Player 3が引き取る。次のターンは、Player 1から始まる。
もし、宣言通りのカードであった場合は、「ゆくし」発声したプレイヤーが
「中央にある全てのカード」を引き取ります。主導権は「最後にカードを出したプレイヤー」に移り、次のターンになります。
- Player 1. 「2が3枚」
- Player 2. 「2が1枚」
- Player 3. 「2が1枚」
- Player 1. 「ゆくし」
- 確認すると、Player 3のカードは2であった。そのため、中央にあるカード5枚を
Player 1が引き取る。次のターンは、Player 3から始まる。
典型的なプレイ
A,B,Cの3人とします。
- A: 2を4枚
- B: パス (2が手もとに1枚もないのでパス)
- C: パス (2が手もとに1枚もないのでパス)
- (1順したので中央のカードは流れ、Aが再度カードを出す)
- A: 2を4枚
- B: う....(もしかすると、さっきのが嘘だったかもしれない...)...パス。
- C: パス
- (1順したので中央のカードは流れ、Aが再度カードを出す)
- A: 2を4枚
- B: (いくらなんでもそれないだろう)「ゆくし!」
- カードを開けるとなんと2が4枚であった!
- Bがカード4枚を取り、再度Aがカードを出す。
- A: 3が1枚
- B: (どうも信じられない) 「ゆくし」
- なんと! 3であった。Bはカード1枚を取り、再度Aがカードを出す。
- A: 3が1枚
- B: (さきほどAから貰ったカードを出し) 3が1枚
- C: パス
- A: 3が1枚
- B: パス
- C: パス
- (1順したので中央のカードは流れ、Aが再度カードを出す)
- A: 3が2枚!
- B: (うげ)....パス
- C: パス
- (1順したので中央のカードは流れ、Aが再度カードを出す)
- A: 3が1枚
- B: パス
- C: ゆくし!
- カードを開けると、実は10であった。Aが自分が直前に出したカード1枚を引き取り、次はCがカードを出す。
- C: 5が1枚
- A: 5が1枚
- C: ゆくし! (実はCは5を4枚持っていたのであった)
- カードを開けると、実はKであった。Aが(自分の分も含めて)カード2枚を引き取り、次はCがカードを出す。
- C: 6が1枚
- A: 6が1枚
- B: パス
- C: パス
- Aが最後にカードを出したあと、パスで一順したため中央のカードは流れる。Aがカードを出す
- A: 6が1枚
- ....
- A: Qを4枚(これで手持ちのカードは無くなった)
- B: ゆくし! (仮にQが4枚であってもすぐ処分できるため、直後のプレイヤーがゆくしを宣言するのは当然)
- カードを開けるとQが4枚であった。Aは上がり。次はBがカードを出す番である。
ゲームの終了
このゲームは、最後の2名で決着をつけようとするとかなり時間がかかります。
ですから、最初に誰かが上がった(手札がなくなった)時点で終りにするのが無難です。
上がるためには、最後に出すカードは正しいカードがよくて(それならゆくしと言われても上がれる)、そのためには...と考えるとはまります。
Tips
- 同じ数値が4枚揃っているカードは攻守両方に使えます。
- 自分が出したカードを相手が得た/流した場合は、それを覚えておきましょう。特に流してしまったカードは、相手の思考を妨害することに使えます。
- 1枚しかない半端なカードを上手に処分しましょう。4枚持っているカードはそのようなカードを処分するためのまたとない財産です。
FAQ
- Aが2枚といったのに、本当は1枚(3,4枚)しか出していませんでした。
- 「ゆくし」といえば、枚数が違うのであなたの手番になります。
- 寄宮中学でもやっていたような気がします。
- 私もそういう気がします。
ゆくし無双13面待ちとは何の関係もありません。