\documentstyle[a4j]{jarticle}

\begin{document}
\title{第3回てだこセミナー「internetの話」}
\author{瑞慶覧　辰}
\date{1994年6月25日\\
	沖縄大学II号館 307号室 16時〜19時30分}

\maketitle
\abstract{
この文章は第3回てだこセミナーでの発表内容を元に、
全面改訂を加えたものです。セミナーの際にメモを取っていただいた
miyuさん、makotoさんに感謝いたします。
}

\tableofcontents


\section{導入(用語解説)}

まず、ネットワークにはどのようなものがあるかをおおざっぱに
説明します。

\subsection{LAN}

LANはLocal Area Networkの略です。
名前の通り、Local/比較的近接した区域のネットワークです。

たとえば、イーサネット(ethernet)やMacintoshで利用されている
Local talkなどです。

MacintoshとMacintoshを接続しているLocal talkは簡便なので
結構利用されています。ケーブルをつなぐだけでディスクや
プリンターの共有ができます。LANだと思わずに利用している場合も
多いようです。

LANの配線には10BASE-2などの同軸ケーブルや
10BASE-Tなどのより対線(電話線のようなもの)が使用されます。
最近は10BASE-Tを使うことが多くなりました。

\subsection{WAN}

WANはWide Area Networkの略です。
LANよりは大きな区域を接続している場合をいいます。
もっとも、どれぐらい大きければWANなのかという厳密な定義があるわけでは
ありません。

一般的にはLAN間を公衆回線または専用線で接続した場合を指す事が多いです。

\begin{verbatim}
  公衆または専用回線     
LAN -------------------- LAN
\end{verbatim}
 
\section{Internet}

\subsection{Internetとは}

元々は語の形からもわかるように、inter-net/ネットワークをつなぐものという
意味でした。これは、international/国際とかinterface/界面などの語句と
同じです。

現在では、固有名詞としてのInternet(TCP/IPで接続された世界最大のネットワーク)を
指すことが多いです。


\subsubsection{TCP/IP?}

TCP/IPはプロトコルの一種です。
TCP/IPの他にもMacintosh同士を接続する為のAppletalkや、
NetWareで利用されているIPXなどのプロトコルがあります。

プロトコルとは、コンピュータ同士を接続する上での約束事です。
電話に例えると、電話線がLAN、話される言語がプロトコルに当たります。
電話線があっても言葉が通じないと(日本語と英語)、話ができません。
これと同様に同じLANを使っていてもプロトコルの違うOS同士は
通信ができません。また、バイリンガルな人がいるように
複数のプロトコルの使えるOSもあります。

プロトコルには向き/不向きがあります。
Appletalkは複数のMacintoshを簡単につなぐことができますし、
IPXはMS-DOSやMS-Windows上では高速なデータ転送が可能です。
TCP/IPは非常に多くのOSで利用でき、またInternetなど広域
ネットワークを構築するのに適しています。

MS-networkというものもありましたが、もう過去のものでしょう。
かなり遅いですし、初期にひどい目にあった人も多いと思います。


\subsection{Internetの礎}

Internetは1969年のARPA NETから始まりました。
これは国防総省が軍用・研究用に作ったネットワークです。

ここで、TCP/IPや4.2BSD(UNIXの一種)が開発・運用され、
Internetの礎となりました。4.2BSDはバークレイ大学から
無償で配布されたため、多くのUNIXに採用され、
結果的にTCP/IPがUNIXでの標準的なLANプロトコルとなりました。


\subsection{Internetの発展}

ARPAから始まったネットワークは、やがてさまざまな
ネットワークと相互接続しながら、大きくなっていきます。

例えば、UUCPをベースとしたUSENET。
アメリカの学術ネットワークであるNSFNET。
さらにはいろいろな商用ネットワーク。

現在のInternetは、さまざまなネットワークを内に含んでいます。

\subsection{Internetが注目されたのは/NII}

ゴア米副大統領が``情報ハイウエイ構想''を提唱してから
Internetは注目を集めます。これは全米にインフラとしての
情報ネットワークを構築することで、次代のアメリカの
礎を作ろうという構想です。

アメリカではケーブルテレビが普及していることから、
ケーブルテレビとInternetがNIIの基になるだろうと
言われています。

初中等教育施設や図書館などへ、ネットワークを
普及させる構想(K12)もあります。


日本でもNIIに刺激されて、省際ネットワークを引くことになりましたし、
新社会資本整備の名でネットワークがどんどん敷設されています。

\subsection{Mosaic}

NIIとならんでInternetが有名になったのは、
Internetで情報サービスを行うMosaicにも一因があります。

\begin{quote}
ここで例としてSun、日本ガンセンターのWWWサーバーが
OHPで紹介される。
\end{quote}

Mosaicを利用することでInternetを介して、
さまざまなマルチメディア情報(画像、音声、動画など)が得られます。

アメリカではホワイトハウス/NASA/FBIなどの情報も提供されています。

\section{日本のInternet}

この分野は変化が激しいので1994年6月現在の情報で話をします。

\subsection{構成}

JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)が、
日本のネットワークの調整を行っています。

ネットワークは、ネットワーク組織が構築しています。
ネットワーク組織には、下記のようなものが存在します(一例)。

\begin{itemize}
\item[WIDE]	産学共同の研究ネットワーク
\item[SINET]	学術ネットワーク/いまのところ大学主体
\item[IIJ]	商用ネットワーク
\item[KARRN]	九州地域ネットワーク
\item[JUNET]	UUCPネットワーク。1994/10に解散予定
\end{itemize}

\subsection{Internetに参加するには}

基本的には、ネットワーク組織に加入する。
加入に当たっては組織ごとに制限がある(研究に限るとか)。

最近ではInternetを利用できるBBS(NIFTY/ASCIIなど)もあるので、
そこに入るのもよい。ただしBBS経由だと利用できるサービスが
限られる。

沖縄県内からInternetに加入する場合、地理的な問題から
費用がかかる。

\subsection{沖縄県内のInternet参加組織}

沖縄県内からInternetに接続している組織は下記の通り。

\begin{itemize}
\item	琉球大学
\item	電波研(中城)
\item	沖縄富士通システムエンジニアリング
\item	沖縄NECソフトウエア
\item	IBM?
\item	沖縄パーソナルUNIX研究会
\item	沖縄大学(予定1994.9〜)
\end{itemize}
	
\subsection{質問コーナー}

\subsubsection{Internetの利用費用}

質問:Internetを利用する場合、誰が費用を負担しているのかという
質問があげられた(Internet利用は無料であるという誤解がある)。


回答:まず、ネットワークそのものの接続費用とサービスの費用は
別です。たとえば、Internet経由でniftyserve.or.jpを利用した場合、
電話接続と同じように、NIFTYに対しては10円/分の課金を払います。


次にネットワークの使用料ですが、これは各組織がネットワーク組織に
支払っています。たとえば、IIJに接続する場合は、接続形態に応じた
費用をIIJに対して支払います。

では、ネットワーク組織を超えて利用する場合は、というと、これは
各ネットワーク組織間での話合いによります。ここで発生する費用
(例えば相互接続にかかる費用)は、なんらかの形で利用者に転嫁
されているはずです。たとえば、IIJの場合、利用費用には日米間の
国際回線の利用料も含まれます。


ネットワークは道路と同じようなもので、例えば、市が違ったからといって
いちいち関所をもうけてお金を取ったりはしません。それと一緒で
相互接続されているネットワークの場合、ネットワークをまたぐ利用を
しても、それに対する課金は発生しないのが普通です。

\subsubsection{Internetのサービス}

質問:Internetではどのようなサービスが受けられるのか

回答:Internetはネットワークであり、サービスではありません。
アクセス可能かということと、アクセスしてどんなサービスを受けられるかは
別の問題です。これに対してBBSはサービスを直接提供しています。

(この項、あとで詳しく説明)

\subsubsection{電子メール}

質問:外国の友人に電子メールを出したいがどうすればいいか

回答:相手の受取手段と、こちらで利用できる手段によります。
例えば、相手がCompuserveのIDを持っている場合、
Internetからは``相手のID@compuserve.com''でメールを送る
ことができます。


\section{Internetのサービス}

さまざまなサービスが提供されています。

\begin{itemize}
\item	電子メール
\item	NetNews
\item	telnet
\item	ftp
\item	WWW(Mosaic)
\item	WAIS
\end{itemize}
	
\subsection{電子メール}

電子メールはBBSでも良く使われているサービスです。
大きな違いは、BBSの電子メールは私書箱であるのに
対してInternetは郵便受けだと言えばいいでしょうか。

BBSではアクセスしない限り自分にメールが来ているか
どうかはわかりませんが
\footnote{最近ではポケベルサービスもあるから、厳密ではない}
Internetメールは自分のマシンまで届けてくれます。

電子メールの所用日数は途中の経路にもよりますが、
TCP/IPだけを経由する場合は数分〜数十分といったところです。

\subsubsection{メーリングリスト}

メーリングリストという同報メールを使っての複数参加者での
メールのやりとりも行われています。BBSでの同報と違って
返事を書くと自動的に参加者全員に配布されます。

メーリングリストに加入するとかなりの数のメールが届くことがあります。
一日に数百通のメールが届くメーリングリストもあります。

パソコン通信サービスでは、受信できるメールの数に制限が
ある場合が多いので(NIFTYは24通、拡張して50通)、
多くのメールが届くメーリングリストに参加すると、メールボックスが
パンクしてしまうことがあります。このような事態を避けるために
複数のメールを1通にまとめて送る機能(digest)がある
メーリングリストもあります。


メーリングリストはUNIXでmailを処理しているのなら、フリーソフトウエアを
使って簡単に開設する事ができます。また、メーリングリストの開設代行を
するサービスを提供しているところもあります(IIJなら1口1000円)。
このようなサービスを利用すればNIFTYユーザーでもメーリングリストを
扱えるわけです。

\subsection{NetNews}

BBSでいう所の、電子会議室/FORUM/SIGにあたるところです。
これも世界中のサーバーで分散してニュースを配送しています。
現在、日本国内で流通しているニュースの量は200MB/日を
超えました。

ニュースといっても、雑談から画像データまで、幅広い分野の情報が
流通しています。

質問: 画像データには○○○なものもあるのか? \\
回答: ないことはない。あまりに危ないものは社会の常識で弾かれる。
      ネットワークも社会であるから。


国内では、fj/tnnなどのニュースグループが広い範囲で購読されています。
沖縄県内を主な配布範囲とするokinawaというニュースグループもあります。

\subsection{telnet}

遠隔地にあるマシンにloginする機能です。
単純に出張先から自分のマシンにloginしてmailを読んだりすることもできますし、
telnetの機能を利用してさまざまな情報を提供しているところもあります
(図書館情報など)。

\subsection{ftp}

ファイル転送です。Internet上ではanonymous ftp(匿名ftp)という
サービスがあちこちにあって、さまざまなファイルが置かれています。
anonymous ftpは誰でもファイルを転送できるサービスで、
パソコン通信で言えば、データライブラリ/poolにあたります。

自分でftpサーバーを開設することも簡単にできますので、
例えば、自分の論文をftpサーバーに置いて配布することなども可能です。

ftpサーバーにはプログラムや文書、イメージデータなどさまざまな
情報が置かれています。例えば、NASAのftpサーバーには、
さまざまな惑星や宇宙の写真がイメージデータとして置かれています。

\subsection{WWW}

WWW+Mosaicは最近インターネット上で大流行のサービスです。
こればっかりは見て見ないとわからないでしょう。

WWWやgopherは、あらゆる機関に広がっています。
国連やwhitehouseなど。

\subsection{WAIS}

全文検索を高速に行うサーバーです。


\subsection{セキュリティ}

インターネットは元々、学術研究・UNIXを母体として生まれたため
基本的にはオープンで、あまりセキュリティを考えていませんでした。

もちろん、自分で暗号化するなどの手段を取ればセキュリティは
守れますし、組織をインターネットに接続する場合は、firewall(防火壁)と
呼ばれるシステムを置くのが普通になっています。

PEM(電子認証)が実験段階です。


\section{インターネットの技術}

\subsection{UUCP}

TCP/IP でつながっているのがインターネットであるが
そうでなくてもメールを受け取れる範囲がある(UUCP、FIDOなど)。

UUCPというプロトコルを利用して、電子メールやNetNewsを
やりとりすることができる。パソコン通信で言えば
オートパイロットのようなイメージである(かなり違うけど)。

UUCPではftpやtelnetなどTCP/IPに依存したサービスは
受けられない。

UUCPを利用してIIJに接続する場合は、30円/分。


\subsection{PPP}

Point to Point protocolの略。元々は2点間をTCP/IPで
接続するためのプロトコルである。最近は、間欠的に
TCP/IP接続を行うための技術として使われることが多くなった。

たとえば、IIJでは30円/分でPPPサービスを提供している。
これを利用すると自宅でftp/telnet/Mosaicなどが利用できる。
もちろん、高速なモデムは必要だし、アクセスポイントは
東京や大阪にしか存在しないので、電話代がかなりかかる。

遅い事を除けば、なんでもできる。

\section{インターネットを始めるには}

\subsection{パソコン通信経由のインターネット}

パソコン通信とインターネットが融合しつつある。
NIFTYからは電子メールが出せるし、
ASCIIからはtelnet/ftpが可能である。
peopleでは電子メールとNetNewsをサポートしている。

てっとりばやく見てみたい場合は、これらのパソコン通信
サービスを利用するのも手である。

\subsection{インターネットの実践}                                    

質問: インターネットやLANを利用するにはUNIXが必要か? \\
回答: そんなことはない。インターネットはUNIXネットワークが
	母体であるため、UNIXがあると非常に便利だが、
	UNIXでないとできないわけではない。\\
	むしろ個人レベルでは使いなれた機種を使うのが一番。
	個人レベルのマシンをまとめる(サーバー)は
	UNIXだといろんなことができる。

	ユーザーはユーザーに徹して、誰かを奴隷にして
	UNIXを管理させるのがいいかもしれない。

	いずれにせよ、つながないよりはつないだ方が良い。


質問: LANを引いたりすると管理者が必要ではないか? \\
回答: 管理者が必要かどうかはサービスのレベルと、
      規模による。

      大きなシステム(何十台もつながっている)場合は、
      ある程度、管理をする人が必要であろう。これは
      UNIXだろうがNetWareだろうが、みな同じ。

      サービスを限定して、たとえば、プリンタの共有だとか
      に限定すれば、管理のコストは下がる。しかし、それでは
      ネットワークの価値が薄れる。

      いずれにせよ、便利なことをしようと思うと、
      何かとトレードオフになる。例えば、金を払って解決
      してもいいし、勉強して管理者になってもよい。


質問:インターネットはどこまで普及するか?\\
	例としてモデムの付録に Internet加入の
	手引きが付くようになるか
回答: あってもかなり先になるだろう
	それよりは BBS に入って知らずに利用している、
	という形態が普及する可能性が多い。

	インターネットも電話のように当たり前の時代が来るだろう。

\section{雑談}

\subsection{ネットワークのメリット}

個々バラバラに回線を引くよりは、
みんなで共通の線を引く方が安上がり。
(例)　受発注システムなどへも利用できるだろう)

\subsection{情報格差}

地方と中央の情報格差は厳然としてある。
ネットワークがあってようやく追いついた状態。
(これ以上、引き離されない状態と言えば良いか)

仕事、趣味について情報交換できるメリットは大きい。
例えば、環境問題などでも県内のBBSに集まる人口と
商用大規模BBS、インターネットではそれぞれの規模が違う。
インターネット人口は2,000万人と言われている。

\end{document}
