古のCRPG:Dungeons and Desktops と ロールプレイングゲームサイド

Wizardry の元ネタは PLATO の oubliette ではないか? という記事を2010年末に書いたことがある。

当時は上記記事に書いたことしか調べられなかったのだが、近年この分野の調査が進み、多くの事実が明らかになっている。

以下、それらの事実がまとまって記載されている書籍2冊とWebページの情報をメモしておく。




Dungeons and Desktops: The History of Computer Role-Playing Games

2008年に出版された書籍(英文)。著者はMatt Barton氏。セントクラウド州立大学(ミネソタ州)英文教授。
CRPGの歴史を6つ(Dark, Bronze, Silver, Golden, Platinum, Modern)に分け、それぞれについて詳細に解説している。
Wizardry, Ultima が生まれたのが The Bronze Age、それ以前の歴史は The Dark Age とされている。

さらにRPGに至るまでのゲーム史や、未来についても書かれている。
ハードカバーにして436頁の大著だ(たぶん物理的に重たい本なので、Kindle版で読んだほうが楽だと思う)。



Dungeons and Desktops: Origins (Chapter 2, p.12-)

1974年にTSR社から発売された (CRPGの直接の祖である)D&Dの元になった・影響を与えたゲームについての考察が書かれている。
Baseball Simulation Games, Tabletop Wargames が挙げられており、特にChainmailの影響が特筆されている。
(そもそもの起源についての考察がちゃんと書かれている辺りが学術書っぽい)。

これらのゲームは D&D や Adventureというジャンルを生んだ Colossal Cave Adventure を経て、CRPGに繋がっていく。

Dungeons and Desktops: The Dark Age (Chapter 3, p.29-)

Dark Age の最初は “PLATO and the Mainframe Era”。 マイクロコンピュータ以前のメインフレーム機、特に PLATO System にて開発されたゲームの話である。

1970年代末には、既にこのような国際的なネットワークシステムが稼働していて、その上でグラフィカルなゲームが作られていた事実にはアメリカの国力を感じる。

PLATO (Programmed Logic for Automatic Teaching Operations)[1][2] was the first generalized computer assisted instruction system. Starting in 1960, it ran on the University of Illinois’ ILLIAC I computer. By the late 1970s, it supported several thousand graphics terminals distributed worldwide, running on nearly a dozen different networked mainframe computers.

PLATO (computer system) – Wikipedia

440px-Platovterm1981
“Platovterm1981” by Mtnman79 [1] – http://en.wikipedia.org/wiki/File:Platovterm1981.jpg. Licensed under CC BY 3.0 via Commons – https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Platovterm1981.jpg#/media/File:Platovterm1981.jpg

University of Illinois が中心だったそうで、さすがは HAL9000が生まれた大学である。
ちなみに、PLATOは今でも動かすことができる。登録方法等は後述するロールプレイングゲームサイド誌 VOL.1にある。

大昔の話ゆえ、そもそもどのようなゲームが存在し、何が祖先であったか はっきりしていない。最初のCRPGの可能性があるゲームとして pedit5 (PLATO), Dungeon (PDP-10), dnd (PLATO) の名が挙がっている。後者は 今は亡きDEC社のミニコン上で稼働し、DECUS (DEC Users group)でも配布されていたらしい。

その他、PLATOでは多くのCRPGが開発された。1976-1979の間だけでも Oubliette (1977), Moria (1978), Avatar (1979), Orphanc (1978) など。

本書ではそれらのゲームのゲームシステムをスクリーンショットも交えて紹介している。詳細は書籍を読んでほしい。

ロールプレイングゲームサイド誌 VOL.01

現在 日本語で読める最も詳しい情報は、ロールプレイングゲームサイド誌 VOL.1 であろう。
こちらも買って読むことをお勧めします。Kindle版あり。




公式サイトから記事概要を引用。35ページに渡って調査結果が書かれている。
この記事がCRPGの歴史について、(現在)日本語で読める最も詳しい記事だと思う。
(とはいえ、さすがにDungeons and Desktopsには敵わない。筆者には続編を期待したい)

●真説・コンピュータRPGの起源 【35P】
・ついに全貌が見えてきた『ウィザードリィ』『ウルティマ』以前の時代
・Kevet Duncombe(ケヴェット・ダンカム)
・Jim Schwaiger(ジム・シュワイガー)
・Bruce Maggs(ブルース・マッグス) インタビュー

ゲームサイド公式サイト GAMESIDE

Wizardry開発者の Robert Woodhead がPLATO上のOublieteにハマって1年休学していたという話もあり(P.94)、Oubliette が Wizardry の元になった、というのは間違いないと思う。

ロールプレイングゲームサイド誌記事では Oubliette やその他の古CRPG開発の母体となった PLATO system についても詳しくかかれている。

Oublietteとwizardyの類似

下記はMatt Barton氏による Wizardry と Oubriette の類似について。

ロールプレイングゲームサイド誌にも多くの情報が書かれている。

下記にOubliette紹介記事およびPLATO systemの表示画像がある。Oublietteの方が複雑なシステムであり、AppleIIに落とし込むときにかなり整理されている。
(メモリ不足のために整理されたのだろう、しかし、そのことでRPGに慣れていないユーザーでも取っ付きやすいゲームになったと思われる)

D&Dとの類似はApple版の内部からも伺える。

日本語化されたWizardryはカッコイイモンスター絵が出てくるが、AppleII版Wizardryの絵はかなりしょぼい。
AppleIIの独特のグラフィック表示と少ないディスク容量も理由だが、それに加えて、PLATOのころからのCRPGの共通イメージを再現したためだと思う。

PLATO上のゲームについて

以下、PLATO上のCRPGについての情報リスト。

開発者インタビュー

  • RPG Codex Retrospective Interview: Robert Woodhead on Wizardry :: rpg codex > doesn't scale to your level
  • The CRPG Addict: Game 69: The Game of Dungeons/dnd (1975)
  • The CRPG Addict: Game 12: Oubliette (1977)
  • 日本語 参考リンク

    Dungeons and Desktops:参考リンク