MP-80Kのビットイメージ印刷の話

2013/03/04昔のパソコン

昭和のころ、FM-8を使っていたころは EPSON MP-80Kというプリンタを使っていた。ドットインパクト方式・トラクタフィード方式のプリンタ。これで印刷したドキュメントのいくつかはまだ家にある。印刷したドキュメントを高価なバインダーに整理したんだよなあ。

ちなみにEPSONが信州精機だった時代だ。

(ドットインパクト方式のプリンタって、もはや見たことが無い人の方が多数ですよね……)
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MP-80Kって?

MP-80Kは 当時最新のドットインパクト方式の漢字プリンタ。漢字ROM内蔵。第一水準第二水準が印刷できる。安価なインクジェットプリンタが出現するのは10年以上先の話。

私は MP-80Kを買うまでは私は放電プリンタを使っていた。放電プリンタなんて、見たことある人はかなり少ないよなあ……(高校の文化祭で相性占いの結果に静電プリンタで印刷した占い結果を渡してたけど、覚えてる人いるんだろうか?)

漢字が印刷できるプリンタMP-80Kは、漢字の表示ができるFM-8とセットで売られてて、相性は抜群!のはずなのだが、実はそうではなかった。

普通に文字を印刷する分にはいいのだが、ビットイメージを印刷しようとするとうまく印刷できない。画面のハードコピーは取れたはずなので、倍密度イメージ印刷が駄目だったのだと思う。MP-80Kを検索すると同じような苦労をされた方が見つかる。

MP-80Kの罠

漢字ROMを持たないプリンタ(MP-80IIとかIII)でも、パソコン側のROMから読み出したビットパターンを送って印刷すれば漢字の印刷はできるし、文字に様々な効果(倍角・強調・斜体等)を与えるにはそちらの方が便利だった(パソコンに漢字ROMがあれば、の話。PC-8001の時代ですからね)。

漢字印刷をするために、グラフィック・プリンタの使い方という本が出ていた時代だ。

ところが、MP-80Kでは その技が使えない。倍密度イメージ印刷ができないのだ。プログラムリストを普通に印刷する分にはいいのだが、ゲームのハードコピーを印刷したり・卒論を印刷することができない。

買ってしまったものは仕方がないので、MP-80KでMP-80のような印刷ができないかと考えた。

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困ったら分解するよね?

蓋をあけてみると、基盤上に載っていたのは8048CPUと汎用ROM(2732か2764)だった。幸いROMはソケットについていたので、ROMライタを使ってROMの中身を吸い出して逆アセンブル。ROMライタはFM-8をFM-7化するために持っていたのだ。もうこの時点で何か変な気もするが、当時のマイコンボーイはROMライタは標準装備だよね?

8048を気合で逆アセンブル

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8048の命令コード表はなぜか入手できたので、それの逆アセンブラをBASICで作成した。インターネットが個人で使えるようになるのは10年以上後、パソコン通信ですら存在しない時代なのに、どうやって資料を入手したのだろうか(^^; たぶんトランジスタ技術に資料があったんだろうなあ。

8048は8080とは全然違う1chip CPUだし、メモリマップもI/Oポートもまったくわからない。なのに、なぜかROMは全て解析・書き直されてMP-80ⅢアッパーコンパチなMP-80Kとして使っていた。どうやって解析したのかまったく記憶にないし、いま同じことをやれと言われても困る気がする。若いっていいなあ……


MP-80ⅢなMP-80K

MP-80Kが倍密度印刷できないのは、ビットイメージで転送されてくるデータとESCシーケンスが衝突していたせいだったはずだ。もはや記憶うろ覚えだけど、一種のバグだったと思う(仕様と言えば仕様だけど、ね)。そのバグを直すために、ROMをいじくってMP-80Ⅲっぽくした。

問題は解決し、印刷したいデータはちゃんと印刷できた。卒論もFM-8改とMP-80K改で印刷して提出したはず。卒論の内容は今から思えばいろいろ突っ込みどころもあるけれども……

単に卒論を印刷するだけなら、MP-80Kをいじるのは手間も金も無駄に使っている。そもそもFM-8を買ったタイミングも最悪で、買った直後にFM-7が出たし。でも、その無駄のおかげでわけのわからないCPUのコードを解析する技が身について、20年後に役に立ったりする。禍福はあざなえる縄のごとし。


昔のパソコン

Posted by ず@沖縄